第75回:怒りを笑いに変えるクレーム・コンサルタント! 超一流のクレーム対応

IDEAストーリー

起業家のストーリーを追体験してもらおうという無料のインタビューサイトです。

このサイトでは、これから起業に興味のある方に向けて、成長のサービスを展開されている方、面白いサービス、商品を出されている方、各分野の実績を出されている専門家の方々にインタビューということで、各スペシャリストの方にお話を伺ってしまおうというような内容で、毎週お届けしています。

 

本日のIDEAストーリー。ゲストは、一般社団法人日本クレーム対応協会 代表理事 谷厚志さん。一般社団法人日本クレーム対応協会では、怒りを笑いに変えるクレーム対応術のセミナーや研修事業を行っております。谷さんに、事業内容や起業に至るストーリーを伺いました。

 

本サイトでは、対談冒頭の一部のみダイジェストとしてお聴きいただけます。
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「怒りを笑いに変えるクレームコンサルタント」

松本:現在どのような事業を行っているのか、自己紹介をお願いします。

谷:私は、一般社団法人日本クレーム対応協会の代表を務めており、怒りを笑いに変えるクレームコンサルタントとしても活動させていただいております。クレームでお困りの企業などに講演や研修を通して、クレームを笑いに変える方法を身に付けていただき、クレームに対するストレス軽減になればと思っております。

 

「対立を対話に変え、よき理解者となる」

松本:クレーム対応で大切なことは何ですか?

谷:メディアでは、無理難題を言う悪質クレーマーばかり取り上げられるため、クレームに対して恐怖心を持ち、謝ることが苦痛で逃げたい気持ちになる方も多いと思います。しかし、クレームの大半は、目の前の問題を解決してほしいというよりも、この思いを分かってほしいという気持ちがクレームの真の正体ですので、すぐに謝って許してもらおうとすると逆効果となります。

クレームを言う立場になって想像してみると、何回も謝罪されるより、「そんなことがあったら嫌なお気持ちになりますよね。お話よく理解できました」と言ってもらえるほうが気持ちは落ち着くと思います。そのため、理解しようとせずに、信頼関係が築けないまま話を進めるのではなく、対立を対話に変え、よき理解者となることが重要です。

 

「お詫びで終わってはいけない」

松本:クレーム対応でやってはいけないことはありますか?

谷:「申し訳ございませんでした」と、お詫びで終わることは最大のNGワードで、「ご指摘いただいて、初めて気付くことができました」など、前向きな言葉で終わることがポイントです。クレーム対応が100%希望通りの解決策ではなかったが理解してくれたと感じたお客さまの97%は、次回もそのお店を利用するというデータがあるように、最終的なゴールは、お客さまの笑顔とリピートしてもらうことにあります。

謝り続けると悪印象のままで終わってしまうので、クレームに対して感謝し、「クレーム言ったけど、ちゃんと対応してくれた」という良いクチコミが広がるようにしましょうということが、怒りを笑いに変えるクレーム対応の神髄になります。

 

「視点を変える」

松本:視点を変えるという発想について教えてください。

谷:クレームを受けたときに、嫌な気持ちになりストレスを感じるだけなのか、そこに改善点を見つけられるのかが最大の分岐点だと思います。

例えば、某有名テーマパークは、お客さまの期待値が高すぎて、「思っていたのと違った」などというクレームが多いそうですが、クレームを学びに変えて、常に仕事を改善していることが、リピート率99.8%をたたき出し、お客さまの笑顔に繋がっていると思います。このように、儲かっている会社ほど、クレームのなかに改善のヒントを見つけるというように、ネガティブをポジティブな視点に変える工夫をしています。

 

「愛情の反対は憎しみではなく無関心」

松本:クレームがない企業は危ないのですか?

谷:儲かっている会社はクレームが圧倒的に多く、一方で、売上が上がっているにも関わらず、クレームが少ない企業は一気に利益が落ちる傾向にあり、そこにはサイレントクレーマーという存在が潜んでいます。

例えば、メディアで美味しいと紹介され、長時間並んで、期待値が高まった状態でやっと食べられたが、テレビで言っているほどのおいしさは感じられなかった場合、お客さまはわざわざクレームは言わず、黙って去っていき、リピーターに繋がりません。逆にクレームを言ってくださるほうが、その問題を解決し、笑顔に変えていくことで、リピーターに繋がり売上も上がりますので、愛情の反対は憎しみではなく無関心であるという気持ちを、社長だけでなく従業員も持つことが重要です。

 

「アプローチを変える」

松本:アプローチを変えるという手法についても教えてください。

谷:クレームの視点を変えて、改善することは重要ですが、簡単には変えられないものもあります。以前、地下1階に露天風呂がある旅館から、階段での昇り降りが大変なので、エレベーターを付けてほしいというクレームの相談を受けたとき、エスカレーターはすぐには取り付けられないので、「健康階段」と名付けたらどうですかとアドバイスをしました。

さらに、「この健康階段は樹齢400年の樫木で作られた、とてもありがたい階段で、階段を1段上がるごとに寿命が4秒延びます」とユーモアたっぷりに書いてもらい、アプローチを変えることで、階段しかないと怒っていたお客さまが、「1段で4秒寿命が延びる?」と言いながら、笑顔になったという例もあります。

 

「クレームを自虐ネタにする」

松本:他にもクレームに関する事例はありますか?

谷:モスバーガーが去年発表したコマーシャルでクレームを活かした内容のものがあります。そのコマーシャルは、「なぜ、モスバーガーのハンバーガーが食べづらいのか?」というフレーズから始まり、最後は「たっぷりの野菜とあふれんばかりのソースでいっぱいの幸せをみなさんに届けたいから、モスバーガー」で締めくくられました。

食べづらいというクレームを、「食べづらいかもしれませんが、それくらい野菜のボリュームがあり、他社よりもソースがいっぱいでこぼれますが、それが自社の特徴です」と、逆説的に表現しています。発想を転換し、ネガティブな情報を前向きに捉え、経営に活かしていくことは重要です。

 

「お客さまの気持ちに寄り添う対応」

松本:クレーム対応は何度も検証してみるべきですか?

谷:靴屋から、在庫がない場合のクレーム対応の相談を受けたことがあります。店長を10人ほど集め、ファシリテーションしてコンサルをやったときに出たアイデアなのですが、在庫がなくても、バックヤードへ走っていき、別の靴を3足用意して戻ってくるという対応が生み出されました。

 

1足目は希望の靴と似たもの、2足目は入荷したてで誰も履いていないもの、3足目は靴屋のプロとしてお客さまに合いそうなものという思いで用意するようにしました。すると、私のために一生懸命走って、3足も別の靴を用意してくれたという気持ちになり、3足のうち1足購入される方が80%以上、2足購入される方が40%以上となることが判明しました。

一度、8足準備して実験したそうなのですが、購入されても、本当にこの靴で良かったのか迷ってしまい、もう一度見せてほしいと再度来店されるお客さまが増えたため、3足に決まったそうです。

 

「嫌な仕事が前向きになる瞬間」

松本:クレームの仕事を面白いと感じたきっかけは何ですか?

谷:某企業のお客さま相談室に勤務していたころに、2,000件のクレームを受けて培った経験で今の仕事が成り立っていますが、最初のころは、朝から晩までクレーム対応に追われる日々が嫌で仕方ありませんでした。

毎日苦痛でしたが、新婚で子どもも生まれる予定だったので、病んでいるままでは一家の大黒柱として通用しないと思い、怒られる仕事をどう前向きに捉えるか考えました。そこで思い付いたのが、面白いクレームや変なクレームが多かったので、人に話せるネタになるなと思った途端、嫌な仕事が前向きになりました。置かれた状況をどう受け止めるかが重要だと気付いたことは、今のコンサル業にも活かされていると思います。

 

「タレントになるも天狗になり干される」

松本:これまでに至った、谷さんのストーリーを教えてください。

谷:大学生のころ、面白いことを喋れる学生タレントとしてデビューし、ラジオやパーティーでの司会業も多く依頼があり、さらに、バブル時代ということで、1回のギャラが大学生にも関わらず数十万円いただいていました。若くして大金を手にしたことで天狗になり、台本をいただいても読まずに、自分でアドリブを言ったほうが面白いと勘違いしていました。

台本を読まなかったせいで大失敗をしまして、明治乳業さん主催のパーティーで司会を任されたとき、代表取締役を紹介する場面があったのですが、明治乳業ではなく、森永乳業とライバル会社名を言ってしまい、マネージャーが会社の方にひどく叱られ、そこからどうやって帰宅したのかいまだに覚えていません。その後、天狗になっていた私には仕事は来なくなり、まだ大学在学中だったため就職活動を行い、営業職に就きました。

 

「クレームで困っている人を助けたい」

松本:起業したきっかけは何ですか?

谷:クレーム専属部署に4年ほどいたのですが、嫌な仕事を突き詰めていくと楽しくなって、誰かにシェアしたくなりました。このノウハウを全国でクレームに困っている人に伝えなければという使命感に変わったときに起業を決意し、2011年10月に創業しました。

前職の上司にも、経営コンサルタントに向いていると言われたこともあり、経営コンサルタントについて勉強しようと本を読んだところ、誰でも知っているような当たり前のことが書いてあり、私もできると思いました。起業するときに大事なのは、根拠のない自信を持ち、ちょっと頭が痛いくらいがちょうどいいと思います。

 

「クレーム対応の専門家として名を広めたい」

松本:起業当初は何をされましたか?

谷:まず、クレーム対応の専門家として世に知ってもらうために、本を出そうと思い、異業種交流会で出会った先輩に相談したところ、「持っているノウハウや個人情報もさらけ出す覚悟はありますか?」と言われて、「怖いものなしです」と答えたところ、「それなら本を出したほうがいいし、出版社も著者を探している」とアドバイスをいただきました。

出版したいと願っているだけでは伝わらないので、原稿を200ページほど用意し、ブログで書いていたクレーム対応術をプリントアウトして持ち歩いていたところ、編集者と出会い、原稿を見ていただき、すぐに出しましょうと言っていただけました。

 

「100回謝れおじさん」

松本:初対面で会った編集者の方を引き寄せたコツは何ですか?

谷:「どんなお仕事されているのですか?」と聞かれたとき、「面白いおじさんと毎日喋っています」と答え、クレーム対応のエピソードをお伝えしました。先日、『ホンマでっか!?TV』に出演したときにもお話したエピソードですが、100回謝れおじさんというクレーマーがいて、私の会社にも、そのおじさんから電話がかかってきたことがあります。

100回謝れというくらい怒っているのかなと思い、「私どもの対応が良くないことによって、そこまで100回謝れというところまでお怒りだということでございますね。申し訳なかったです」と、最初の掴みで言ったところ、おじさんが「イーチ」と言い、次に、「大変申し訳ございませんでした」と言うと、「ニー」、「恐縮でございません」、「サーン」、「お詫びの言葉もございません」、「ヨーン」とカウントが始まりました。弊社には、お詫びの言葉集というマニュアルがありますので、そこに記載されている言葉を1個ずつ読み上げ、23までいき、「お詫びの言葉もございません」と言うと、「謝って許してもらおうとしやがって、もうええわ」と逃げるように電話を切られました。こんな面白い方もいますよと出版社に方に伝えると、それは面白いということで出版が決まったので、自分の想いを常に伝えられる準備をしておくことが、チャンスを掴むコツです。

 

「本を出せば売れると甘く考えていた」

松本:出版後は軌道に乗りましたか?

谷:本を出せば山ほどオファーが来ると思っていましたが、まったくなく、YouTubeでクレーム対応のエピソードを話すことを始めました。クレームを面白おかしく話す様子を見た方から、研修やセミナーの依頼が入り始め、徐々に軌道に乗っていったという感じです。本を出せば売れるという考えは甘く、活字が好きな人もいれば、目や耳で情報を得る方もいるので、YouTubeも活用したことが良かったと思います。

 

「逃げるような起業は長続きしない」

松本:起業したいけども、どんな分野に進もうか迷っている方へアドバイスをお願いします。

谷:自分の好きなことで起業すべきと言われますが、そんなに簡単にお金儲けはできないので、今の仕事を強烈に突き抜けて結果を出してみないと、ビジネスモデルは生まれません。起業は誰でもできますが、10年、20年と続けて、初めて起業家と言われると思っていますので、私はまだ7年目で一人前ではないですが、今やっていることで世の中に貢献できることはないだろうかと、長い目で考えることが起業家として成功する要素ではないかと思います。

私自身、あれだけ嫌だったクレーム対応という仕事で起業していますので、今の仕事に満足いっていない方は視点を変えてみて、与えられた環境で突き抜けて、一度どっぷり浸かってみることが大事で、逃げるような起業は長続きしないと考えています。

 

「在庫は自分の頭のなかにある」

松本:スタート資金はどのくらい用意すべきですか?

谷:私はお金をかけずに起業することを考えて、ホームページは制作しましたが、ほぼ0円でスタートしました。ブログやYouTubeも無料で、コンテンツをお金にかえるという考えだったため、在庫は頭のなかにあるクレーム対応のノウハウ、スキルを元に起業したというかたちです。

 

「自分の成長を人の笑顔に変えていく」

松本:今後の事業展開、仕事上での夢はありますか?

谷:クレームの専門家として自分自身がもっと成長し、クレームで困っている人を助けたいという思いは、起業当初から変わっていません。コンテンツのスキルを上げたり、角度を変えて違う伝え方をしたり、自分の成長を人の笑顔に変えていくということを突き詰めたいと思っています。

 

「信頼されるという人間性を磨く」

松本:最後に、起業を考えている方へメッセージをお願いします。

谷:自分の価値をお金に変えられることが起業で成功すると考えていますので、ご自身がどういう人間なのか、どういう人間であれば起業していいのかと、まずは人間性を磨いてほしいです。儲かっている企業の社長さんに共通しているところは、マーケティングなどでニーズをいち早く知ることもそうですが、誰からも信頼されるという人間性を磨いているところですので、起業するにあたり、人間性を磨いてから準備するのがいいのではと思います。

 

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起業におすすめな本/社長の「1冊」

学問のすすめ

「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らずと言えり」.著名なこの一文で始まる本書は,近代日本最大の啓蒙家である著者が,生来平等な人間に差異をもたらすのは学問の有無によると説く.彼のすすめる学問とは,西洋実学の批判的摂取である.明治の人心を啓発したその言は,一世紀を経た今日も清新である

 

谷 厚志 (たに あつし)
【怒りを笑いに変えるクレーム・コンサルタント】

学生時代は関西を拠点にタレントとして活動。しかし、大手新聞社の新創刊パーティーの司会でメインスポンサーの社名を間違えるという大失態をおかす。

それがキッカケで売れない干される時期を経験、芸能活動をあきらめる。サラリーマンに転身し、企業のコールセンター、お客様相談室のクレーム対応責任者を歴任。 2,000件以上のクレーム対応に接し、一時は出社拒否になりながらも独自の「クレーム客をお得意様に変える対話術」を確立する。

独立後は、クレームで困っている企業を支援するために、クレーム・コンサルタントとして活動開始。

メーカー、通信会社、量販店、銀行、ホテル・旅館などの企業を顧客に持ち、具体的なクレーム対応法をアドバイスしている。

顧客からは「クレームに対する恐怖心がなくなった。」
「クレームから売り上げを伸ばす画期的な方法を学んだ。」
「実践したら、クレーム客がお得意様に変わって驚いた。」と満足度も高い。

圧倒的な経験知と人を笑顔にするトークがクチコミで拡がり、 年間200本の講演・研修にも登壇する。
(一社)日本クレーム対応協会の代表理事を務める。

◇ 著書
「どんな相手でもストレスゼロ!超一流のクレーム対応」(日本実業出版社)
「怒るお客様こそ、神様です!」(徳間書店)
「心をつかむ!誰からも好かれる話し方」(学研)

◇ メディア出演実績
NHK「Rの法則」 日テレ「ZIP!」 フジテレビ「ホンマでっか!?TV」 中京テレビ「KO-EN」 日経ビジネス プレジデント BIG tomorrow 週刊ポスト 近代セールス 販促会議 アントレ 日刊ゲンダイ シティリビング FM NACK5 ハッピーロード大山TV

怒りを笑いに変えるクレームコンサルタント 谷 厚志
https://ameblo.jp/c-eyespro

日本クレーム対応協会
http://www.ikariwoegao.org/

 

 

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