第82回:カレーと地域の融合!カレーづくりを通し人と人がつながる。

IDEAストーリー

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このサイトでは、これから起業に興味のある方に向けて、成長のサービスを展開されている方、面白いサービス、商品を出されている方、各分野の実績を出されている専門家の方々にインタビューということで、各スペシャリストの方にお話を伺ってしまおうというような内容で、毎週お届けしています。

本日のIDEAストーリー。ゲストは、株式会社瞬 代表取締役 新井一平さん。新井さんはカレー好きで、カレーに関する事業を行っています。新井さんに、事業内容や起業に至るストーリーを伺いました。

 

本サイトでは、対談冒頭の一部のみダイジェストとしてお聴きいただけます。
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「カレーと地域の融合」

松本:現在どのような事業をされているのか、自己紹介をお願いします。

新井:私は大きく分けると三つの活動をしています。一つ目は、株式会社瞬の代表取締役として、地方でものづくりをされている方へウェブマーケティングをしています。二つ目は、株式会社BOLBOPの社員として、地方創生に関わる仕事をしており、地方出張へ行く度に、仕事だけして帰ってくることがもったいないと感じ、あえて宿泊して、地方について知ることを始めました。

その一方で、私自身が本当に好きなことは何か考えるようになり、カレーを作ることや食べることだと実感しました。カレーが好きだという気持ちを再確認したうえで、愛知県瀬戸市を訪れる機会があり、そこでカレー専用の器を作る陶芸家さんと知り合いました。器とカレーの融合を広めたいという思いから、カレーを作って、カレー専用の器で食べるというワークショップを東京で開催したことがきっかけで、私のカレーライフはスタートしました。

 

「一平ちゃんカレー」

松本:一平ちゃんカレーが生まれたきっかけは何ですか?

新井:気になっていた女の子が山形に引っ越してしまったので、何かの口実で山形に行けないかと模索していると、山形でカレーイベントをやったら?とアドバイスをいただきました。その後、知人から山形のコアワーキングスペースを紹介していただき、開催に向けて動き始めました。

山形で中川吉右衛門さんというお米農家さんと、千葉さんという蕎麦農家さんと出会った瞬間に、「カレーイベント面白いね。いつやる?」と、話に乗ってくださり、出会ってからわずか1カ月後にカレーイベントを開催しました。カレーの名前は、会社名にちなんで「瞬カレー」にしようと思っていたのですが、地域で覚えてもらいやすいということで「一平ちゃんカレー」展開していくことになりました。

 

「カレー=関わる人の幸せ」

松本:なぜカレーが好きなのですか?

新井:山形で開催したカレーイベントの際に、中川吉右衛門が配信されているYouTubeに出演させていただきました。そのときに、「なぜカレーが好きなのか?」と聞かれて、父と母の食べ物の好みの問題が影響していることを思い出しました。父は肉派、母は魚派だったので、父が肉料理を作れば、母は不機嫌になり、母が魚料理を作れば、父は不機嫌になるという状況のなか、カレーだけは家族みんなが笑顔になれる料理でした。

カレーは家族愛や平和の象徴のような料理なんだと幼いながらに思っており、カレーをみんなで食べる空間が好きになったことから、私のカレー愛は始まったと思います。今では、地域の農家さんとコラボし、食材の収穫から楽しむイベントも開催しており、カレーは1人で楽しむものではなくて、みんなで楽しむものということで、「カレー=関わる人の幸せ」だと感じています。

 

「カレーで革命を起こしたい」

松本:6curryとはどういうものですか?

新井:恵比寿にあるNEWPEACEという会社の代表である高木新平君が、フェイスブックで「カレーで革命を起こしたい」と投稿したところ、私のカレー仲間がその投稿を見て、高木君と繋いでくれました。寿司やラーメンだけではなく、カレーも立派な日本食だという高木君の熱い思いから、カレー好きを集めて、カレーを世界に広めるための「6curry」プロジェクトが始まりました。

カレーは男の料理というイメージがあるのですが、女性の方も気軽にスパイスカレーを食べてほしいという思いから、カップカレーを開発したり、一般の方と商品開発をするなど、地域の人や食材を混ぜ合わせながら、カレーづくりを楽しんでいます。

 

「収益ではなく、楽しさを追求する」

松本:6curryは今後どのように展開していくのですか?

新井:当初は、UberEATS(ウーバーイーツ)を利用し、宅配で「6curry」を広めようとしましたが、注文を受けて、キッチンで作るという作業をしているうちに、生のお客様の声が聞けないことに疑問を感じ、9月中旬に恵比寿に店舗を構えることになりました。

カップカレーは、歩きながら食事をする海外の文化に合っているということから、海外進出も考えています。また、「6curry LAB」を立ち上げ、カレー好きを集めて、商品開発をしています。カレー事業では収益はほとんどないのですが、メンバーは純粋にカレー好きというだけで参加してくれているので、楽しさを追求したプロジェクトだと思います。

 

「スタートアップはスピード感が大事」

松本:チームを作るにあたって大切なことはありますか?

新井:高木君のマネジメント力が適格だったので、「6curry」プロジェクトも上向きに進んでいったと思います。10月に「6curry」の話が出て、12月にロゴマークが完成し、1月にUberEATSで実験して課題を洗い出し、5月に店舗構想が生まれました。

そして、8月中には店舗が完成するというスピード感で動いているため、常に目の前に目標があったからこそ、立ち止まらずに進めたと思います。細かく目標を立て、その都度、丁寧に言語化して、目指すべき場所を全員が共有できていたからこそ、チームがうまくまとまっていると感じています。

 

「スパイスカレー研究部」

松本:現在のお仕事の比重を教えてください。

新井:BOLBOPが約7割で、3割はカレー事業となっています。神保町に、ジョブライブという企業があり、東京プロデューサーズハウスという起業家支援のコンサルや場の提供を行っています。そこの方と「スパイスカレー研究部」を昨年9月に立ち上げ、現在は、青森の弘前、長崎県の東彼杵、来月は愛知県瀬戸市でイベントを開催し、部員数250名まで広がりました。

スパイスカレー研究部のイベントは、4人1グループになり、私が座学でカレーについてお話をさせていただき、みんなでカレーを作るというものです。今後は、カレー事業をどんどん増やしていきたいと思っていて、現在の報酬としては、BOLBOPからいただく分が多いのですが、労働時間では、カレー事業が約9割となっています。

 

「アマチュアカレーグランプリ」

松本:カレーグランプリを開催したのですか?

新井:私がこれまで地域で出会った方々を集めて、プロや素人関係なく、どのカレーが美味しいのかを決める「アマチュアカレーグランプリ 一平ちゃん杯」を開催しました。7人のカレー好きがカレーを作り、70名の参加者が審査するというものなのですが、カレーを試食する際は、7種類のカレーを1皿に盛り付けて食べ比べするという、その名も「カレーセッション」を行いました。カレーは単品で食べても美味しいのですが、複数のカレーを融合させることで、宇宙的な美味しさになります。

 

「カレーに酸味をプラス」

松本:新井さん流おすすめの食べ方はありますか?

新井:家庭でもスパイスからカレーを作ることは簡単にできますので、是非トライしてほしいと思います。カレー教室でも説明するのですが、五味(塩味、苦味、旨味、酸味、甘味)がポイントで、甘味は野菜、塩味は塩や醤油などで出せますが、酸味は通常のカレーづくりでは出せません。私は、酸味を出すために、完成後のカレーにレモンやお酢を少量かけます。日本でもカレーに福神漬けやらっきょうを添えるように、酸味はカレーの美味しさを引き立てることができますので、レモンを加えてみることもおすすめです。

 

「大学時代にSNSサービスで起業」

松本:小さいころから好きなことを突き詰めるタイプでしたか?

新井:小さいころから、頭で考えて動くより、好きなことがあればとにかく行動してみるタイプでした。図工や美術のように、夢中で手を動かすことが好きだったので、大学は建築学科に進み、就職先も決まっていましたが、大学4年生のころ、mixiでオタクに特化したSNSサービスを立ち上げたところ、予想以上に反応があったため、内定を辞退し、SNSサービスに集中することにしました。しかし、代表の強引な経営についていけず、どんどんメンバーが辞めていき、私も退職することになりました。

 

「父親の仕事を知りたい」

松本:その後はどうされたのですか?

新井:ちょうどそのころ、父の体調が崩れたということもあり、一度実家に帰り、父の仕事を手伝うことになりました。きなこを作る仕事で、繋がりがある人に律儀に販売するという昔ながらの販売手法だったので、独学でウェブ制作や広告運用をしたり、料理教室をしたり、私なりに試行錯誤したのですが、工場の老朽化で、事業を広めるためには莫大な投資がかかるということで行き詰りました。事業拡大を模索していると、両親が「2人で少しずつ販売していくことも幸せなんだよ。自分の人生を生きてくれ」というメッセージをもらい、再就職先を探すことになりました。

 

「売り上げを上げても、疑問が残った」

松本:再就職先はどのような会社でしたか?

新井:知人が千葉県にある見波亭というバームクーヘン屋さんのコンサルをしていたのですが、通販サイトを開設するという話になり、私を通販担当者として採用していただきました。通販担当で入社したのですが、実店舗の店長が倒れ、私は通販兼実店舗の店長としてもお店を任されることになりました。通販サイトの戦略として、広告の活用も行いましたが、本質的に社員同士の繋がりを見直そうということで、販売や商品開発など他部署との交流を深めることで、より自信を持って仕事に臨める環境を作りました。

また、バームクーヘンづくり教室なども開催し、リピーターを増やしていき、結果として、通販サイトは、月10万円ほどの売上が、最終的に月1,000万円まで伸ばすことができました。しかし、売上が上がるにつれて、社員たちの労働時間が長引き、疲弊していく姿を見て、何が正解の働き方なのか疑問を持ち始めました。

 

「主導権を元の場所に戻す」

松本:疑問はどのように解決したのですか?

新井:当時の私は無知だったため、売上アップの一方で、社員が疲弊していく姿に対して、何も解決策を提案することができませんでした。そんなときに、BOLBOPの茂木代表と出会い、「主導権を元ある場所に戻そう」という思いを持って活動していることに共感し、私も社員として働くことになりました。地方で生きたいのに、地方には仕事がなかったり、学びたいことが学べなかったり、都会に来るしかない人生の選択は、主導権が人にないと感じ、地方の可能性を見出すために何かできないか模索するようになりました。

 

「カレーという気軽なコミュニケーションワード」

松本:人との出会いはどのように深めていくのですか?

新井:地方出張の際は、ゲストハウスなどに宿泊することが多いのですが、そこで、「何やっているんですか?」と聞かれ、「ウェブの仕事とカレーもやっています」という会話から、カレーって何?というふうに興味を持ってくださいます。先日も長崎県の五島列島に行ったのですが、農業をやられている起業家の女性と出会い、カレーの話をしていくうちに、カレー教室を開いてほしいという話になりました。カレーは多くの人が好きな料理なので、会話のきっかけになりやすく、気軽なコミュニケーションワードだと思います。

 

「自分自身を俯瞰して見る」

松本:起業には興味があるけど、好きなことが分からない方へメッセージをお願いします。

新井:私はカレーが好きですが、カレーだけで仕事を成り立たせようとは思っていません。好きなことだけで勝負することは、失敗したらどうしようと不安になってしまうので、カレーが好きという仮の自分を少し前に置いて、後ろから本当の自分が俯瞰して見るという意識を持って行動しています。こうすることで、もしカレーで失敗しても、「あれは仮の自分だったから、次は頑張ろう」と前向きになれます。

ただ、仮の自分を置いたからこそは、全力で好きなことを周囲にアピールしてほしいです。私もカレー好きということを発信し続けたことで、周囲が「新井はカレー好き」という認識になり、カレー絡みの案件があれば、私に繋いでくれるようになりました。自分がまだ好きか分からない状態でも、周囲の反響が私という人格を形作ってくれることもありますので、少しでも好きかもと思ったら、仮の自分でもいいので発信してみてください。

 

「食を通じて、あらゆる壁をなくしたい」

松本:今後の事業展開、仕事上での夢を教えてください。

新井:私のライフバランスにおいて、カレーは仕事なのかプライベートなのか分からなくなってきています。先週、私の前世は船乗りと言われて、腹に落ちたことがあります。地域に根付く「土の人」、外部から来る「風の人」という言葉があるのですが、私は風のように各地を訪問し、様々な方とカレーを通じて縁を深めていきたいなと思っています。

スパイスカレー研究部も全国に広めていき、「一平ちゃんカレー」のように農家さんを応援するためのカレーイベントも増やしていければと思っています。カレー研究部も、私が先生ではなく、皆さんが主役になれる場を提供することで、それぞれが自分の人生を自分らしく生きられるようになればという思いで開催しています。食卓を囲んでいるときは、世代や国境などのあらゆる壁が取り払われますので、その幸せなひとときを感じていただくためにも、カレーという食べ物を世界規模で広げていくことが夢です。

 

「お互い様の心」

松本:新井さんのなかで何かを始めるときのキーワードはありますか?

新井:お互い様の心を持つことを大切にしています。例えば、農家さんの場合、野菜に少しでも傷があると、クレームが入り、お金を払ったほうが偉いという風潮はありますが、農家さんがどういう思いで野菜を作っているかを感じることができれば、クレームは減るような気がします。カレーイベントにしても、1人で走るというよりは、全員が同じ土俵に立って、お互いを尊重し、お互い様という関係でものづくりができたらと思います。

 

「世界中の人ではなく、目の前の人を喜ばせる」

松本:最後に、起業を考えている方へメッセージをお願いします。

新井:お金を稼ぐことは継続するために必要ですが、何のためにやっているか納得して取り組むことが大事です。世界中に受け入れてもらえるようなビジョンではなく、家族や恋人のためなど、身近な人に受け入れてもらえることだけで価値はありますので、何のためか明確にすると、常に楽しく働けます。本気で身近な人のためにということを軸に始めると、継続させることができますので、まずは世界中ではなく、目の前の人に喜んでもらえることを考えてみてください。

 

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株式会社瞬 代表取締役CEO 新井一平

静岡県三島市出身・都内在住(東京⇆全国多拠点ワーカー)

バウムクーヘン屋の店長を経験後、人を起点にした地域活性事業を行う会社「株式会社BOLBOP」に転職し、WEBコンサルティングを担当。その後、2015年に独立し、地域のものづくりに携わる中小企業を中心に、WEBマーケティングやWEB制作を行う「株式会社瞬(マタタキ)」を創業。

WEBを通じて地域の魅力を伝えるお仕事をさせていただいています。そのかたわら、全国でカレーを作るイベント、スパイスカレー研究部、人と人がつながる!カレーの起業冒険塾、6curryなどを開催。(株式会社BOLBOPプロジェクトメンバー/「一平ちゃんカレー」/アマチュアカレーグランプリ2016年優勝)

新井一平
https://www.facebook.com/ieppichan

スパイスカレー研究部

人と人がつながる!カレーの起業冒険塾「POP START」

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