第64回:笑顔の凄い効果!心や体の薬でもある笑顔を科学的に分析

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本日のゲストは、スマイルサイエンス学会 代表理事 菅原徹さん。スマイルサイエンス学会では、笑顔の普及発展を目的に活動しています。代表理事を務める菅原さんに、事業内容や起業に至るまでのストーリーを伺いました。

 

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「笑顔は心や体の薬」

松本:現在どういった事業をされているのか自己紹介をお願いします。

菅原:私は笑顔の研究をしており、笑顔学と名づけ、笑顔の仕組みやかたちを学び、心も喜ぶ笑顔を広める活動を目的としています。昨今、デスクが隣同士でもメールでやり取りすることも増え、職場に無表情が増えてきていることや、在宅ワークも普及してきていますが、やはり顔を突き合わせていたほうが仕事に対する意欲が高まるという報告もありますので、笑顔の重要性が見直されています。

顔を合わせるとオキシトニンという幸せホルモンが分泌され、さらに、笑顔で接すると心を安定させるセロトニンも分泌されます。心や体の薬でもある笑顔を科学的に分析し、学術的知見として、みなさんに広めたいという思いで行動しています。

 

「笑顔で心理面もサポート」

松本:笑顔を学術的に研究している人は少ないのですか?

菅原:恐怖、驚き、悲しみなど、表情全体の研究の一つとして笑顔はありますが、笑顔を専門にしている研究者は少ないです。海外の方は笑顔が大きいですが、日本人は微笑みの国という言葉があるように、大きく笑う方は少なく、表情の目盛りが細かいと言われています。また、ネットが普及し、対面コミュニケーションも少なくなったこともあり、ますます笑顔が生まれにくい世の中になってきていると感じています。そんななかでも、笑顔でいられるように、笑顔をしっかり分析し、うまく笑顔が作れずに悩んでいる芸能人や就活生のサポートもしています。

 

「本物の笑顔はデュシェンヌスマイル」

松本:笑顔で多い悩みはどんなものがありますか?

菅原:大学生100名に本物の笑顔が作れるか調査をしたとき、2割の学生しか本物の笑顔が作れませんでした。本物の笑顔は「デュシェンヌ・スマイル」と呼ばれ、口だけではなく、目も笑っており、本当に幸せを感じている笑顔と定義されています。

本物ではない笑顔は「ノンデュシェンヌ・スマイル」と呼ばれ、口は開いているが目は笑っていないタイプ、笑顔で使用する以外の表情筋を使って、表情がいびつになってしまうタイプ、まったく表情筋が動いていないタイプに分けられます。自分は笑っているつもりだけど、笑顔でないと言われたり、表情筋の動かし方や本物の笑顔の作り方が分からないという悩みが多く、まずは笑顔の仕組みを知るということを指導しています。

 

「笑顔は幸せと錯覚させることができる」

松本:作り笑いをしてでも、笑顔になることは大切ですか?

菅原:私自身、昔は笑顔が苦手で、そのころはストレスを受けやすく、病気にもなりやすかったと思います。顔の表情筋は脳から筋収縮の信号を受け取り笑顔を作り、その後、笑顔がどのくらいの強さで作られたと脳に信号を返します。これは「顔面フィードバック効果」という仮説です。

作り笑いであっても笑顔になることで、笑顔になれたと脳を騙して、今、幸せで楽しいんだという錯覚を覚えさせることは可能です。ただ、辛い気分なのに笑顔を作り、落ち込んだ気分をすぐに回避できるということではありませんので、まずは笑顔になって、少しでも目の前のことを面白く感じることで、心も幸せな方向に向かえるのではないかと思います。

 

「笑顔は幼少期から」

松本:大人になって笑顔が多い方はどういう幼少期だったのですか?

菅原:子供のころ、少し危ないことがあると「○○君、これしちゃ駄目」と言われたことがあると思います。子供は穴があれば指を入れてみたいし、レバーがあったら引いてみたい、そういう好奇心を駄目という一言でなくしてしまうと、ネガティブな感情が蓄積していき、ネガティブ思考のまま大人になると、笑顔が生まれにくくなってしまいます。

また、アインシュタインが「常識は18歳までに集めた偏見のコレクションだ」と言っているように、義務教育の過程で、ああしなさい、こうしなさいと視野を狭めてしまった人もネガティブな傾向にあります。幼少期にいかに笑顔で過ごし、ポジティブな発想で、自信を持つことが、大人になっても笑顔でいられるコツです。

 

「腕利きのカメラマンは笑っている」

松本:写真を撮るときに笑顔になるコツはありますか?

菅原:例えば、親子で撮影するときに、「○○ちゃん笑いなさい」という言葉をよく耳にしますが、これは子供にとってはトラウマになる声かけの方法で、笑顔を引き出すポイントは、自分が最高の笑顔を作ることだと思います。

 

私たちにはミラーニューロンという、ものまね細胞を持っているので、撮影者が最高の笑顔で「はい、笑って」と言うと、反射的に笑顔が出ます。また、写真に写っている人の何割が笑顔かという集団笑顔率が高ければ高いほど、いいカメラマンと判断できます。

撮影するときの掛け声も、「ハイチーズ」だと、語尾が「ズ」となり、口が閉じた状態になるため、いい笑顔が作れないということで、いろいろ試しましたが、「ハイ、ハッピー」が最も笑顔になれる掛け声だと思います。

 

「ウンパニ体操」

松本:ウンパニ体操を教えてください。

菅原:ウンパニ体操は、最も効率よく笑顔で使う筋肉をトレーニングする体操です。顔の筋肉の活動度合いを計測し、最適な筋肉活動をする発声や顔の動き方を研究したもので、「ウ」「ン」「パ」「ニ」という口の動きが効果あると判明しました。

まず、「ウ」は、ウーと言いながら目を開き、口をとがらせます。笑顔とは真逆の顔になるのですが、先に筋肉をストレッチさせるためにウーと言います。

次に、「ン」は顔と口を寄せて、くしゃっとした顔を作ります。

「パ」は、くしゃっとした顔をパッと解放させます。

そして、「ニ」は、口角を上げて、ニっと笑顔を作ります。この一連の動きがウンパニ体操で、繰り返すことで、自然と本物の笑顔「デュシェンヌ・スマイル」を作り出すことができるようになります。ある番組で実験したところ、笑顔になる効果だけではなく、むくみにも利くことが分かったので、小顔効果も期待できるかと思います。

 

「笑顔は掛け算」

松本:笑顔はどんなジャンルにも必要ですか?

菅原:例えば、職場×笑顔、スポーツ×笑顔というように、笑顔はあらゆるジャンルと掛け算することができます。これまでに多くの社長さんとお会いしましたが、業績が上がり続けている社長さんや職員の方はやはり笑顔ですが、一時的に伸びても、すぐ業績が落ち込んでしまう会社には笑顔がないと感じています。疲れているときは脳も疲れていますので、脳に笑顔の栄養を送るためにもウンパニ体操は効果的なので、脳の目覚まし時計としてウンパニ体操を実践してほしいと思います。

 

「笑顔の周波数」

松本:人は見た目が9割ということと笑顔は関係しますか?

菅原:初対面における対話の満足度が何に関係あるのかという実験を行ったことがあります。初対面の組み合わせをいくつか作り、15分間会話してもらい、会話満足度と二人の性格特性、心拍や呼吸のリズム、知覚・発話テンポ、表情、外見印象などを分析すると、二つだけ相関が高かったものがありました。

 

一つ目は、顔、服装などの見た目の第一印象、二つ目は、会話中の笑顔のキャッチボール量、この二つが会話の満足度に関係していることが判明しました。身なりがきちんとしているという第一印象はもちろんですが、会話中に笑顔が多く交わされることで満足度が高まり、逆に、会話の中身は満足度に関係しないということが分かり、どんなにいいことを言っても、笑顔には勝てないというふうに解釈できます。

しかし、ずっとニコニコしていても気持ち悪いですので、相手が深刻そうな顔していたら、まずは自分も深刻な顔をするなど、笑顔の周波数を相手に合わせて、徐々に笑顔を増やしていき、最後は大きな笑顔で別れることで会話の満足度が高まると思います。

 

「相手の表情を笑顔で溶かす」

松本:相手が無表情だった場合は笑顔を引き出すことができますか?

菅原:相手が無表情だった場合は、相手の表情を自分の笑顔で溶かすというミッションを課してほしいと思います。私はよくスーパーで試しているのですが、笑顔のない店員さんがいたときに、その方のレジに並び、微笑みかけるということを1ヶ月続けました。

 

その結果、1ヶ月後に、その方から微笑みかけてくれるようになり、「今日も遅いんですね」という会話もできて、最終的には仲良くなりました。また、レジが5台あるにも関わらず、1台のレジだけ列ができているスーパーがあり、原因を調べると、そのレジの店員さんがとてもいい笑顔で接客し、笑顔を見たいがために並んでいるということが分かりました。

私は半年間そこに並び、顔見知りになったところで、「笑顔を計測させてください」とお願いし、2時間かけて500枚の写真を撮り続けたのですが、最初から最後まで笑顔が変わらず、笑顔が技化されていることに驚きました。

 

「感性の指数」

松本:笑顔は出世にも関係しますか?

菅原:あるテレビ番組の企画で、出世している女優さんやモデルさんは、子供のころから、笑ったときに、頬壁(きょうへき)という口の内側が見えているという傾向にあるので、解説してくださいと言われたことがあります。頬壁が見えるということは、笑顔で使う筋肉を最大限に使えているということなので、人の記憶に残りやすいと言えます。

 

昔は笑顔を「咲顔(えがお)」と書いており、顔に咲く花にも例えることができます。タンポポやバラのように咲く花が異なるように、人の顔もそれぞれ違いますので、自分に合った笑顔を見つけてほしいと思います。また、笑顔の作り方だけ教えて終わりというインストラクターの方もいますが、それでは、すぐに笑顔の花は枯れてしまうため、根っこから水分を吸収し、葉を大きく広げて、光合成して、しなやかな茎に支えられ花が成長するように、笑顔も根っこ、葉っぱ、茎の感性を高める必要があります。

感性の定義付けはいろいろありますが、人を感じさせる力+感じる力を偏見の度合いで割ると感性の指数も出るのではないかと思っています。

 

「笑顔は遠くからでも認識される」

松本:笑顔には人を惹きつける効果がありますか?

菅原:美人モデルと一般人の二人に並んでクッキーを販売してもらい、どちらが多く売れるかという実験をある番組でやったことがあります。美人モデルは無表情、一般人は笑顔でクッキーの販売を始めて、1時間後、圧倒的に一般人のほうが売れることが分かりました。

 

これは視覚優位性という効果が働き、笑顔は遠くからでも認識できるため、笑顔の一般人が売るクッキーのほうが売れたという結果です。また、赤ちゃんは視力0.02ほどしかなく、ぼやーっとしか見えないなか、唯一見えるのがお母さんの笑顔です。赤ちゃんはお母さんの笑顔から学習しています。

赤ちゃんが泣いていて、おむつなどの不快を取り除き、手を添えてさすることで、幸せの物質オキシトシンも出ます。証明はされていないですが、お母さんがずっと無表情のまま接していると、発達上なんらかの影響が出ることも考えられます。このように笑顔は身近で不思議で奥が深く、心理学や自然科学の偉大な研究者でも、最終的には笑顔の研究を始める方も多いです。

 

「感性をものづくりに活かす」

松本:これまでに至った、菅原さんのストーリーを教えてください。

菅原:信州大学の繊維学部に、感性工学という学科ができました。感性と工学は水と油のような存在でとても面白そうだなと思い、その二期生として学ぶことになりました。感性工学というものは、大量生産大量消費の時代に、人の感性に訴えかけて、愛着があり、心が本当に喜ぶものを作るためにはどうしたらいいんだということを研究し、感性をものづくりに活かそうという学問でした。

遺伝子解析、デッサン、材料物理学、コンピューターグラフィック、ワインのテイスティングまであり、授業内容も面白かったです。また、当時、私は格闘技をしていたので、筋肉をつけるために、手足に2キロずつ重りをつけて、授業を受けており、もっと筋肉のことを知りたいという思いで、筋活動研究を専門とする研究室に入りました。

 

「笑顔の黄金比」

松本:子供のころから笑顔だったのですか?

菅原:小さいころは笑顔が多い子供だったのですが、高校生のときに自分の笑顔を否定されてからは、笑顔は少なくなりました。大学生のころ、ゼミの教授から、顔の表情筋の研究をするよう指示があり、微弱な電子信号を拾って定量化する実験をしていました。

その後、自動車メーカーやカメラメーカーから表情に関する共同研究をしようと声をかけていただき、魅力的な笑顔、そうではない笑顔に分けて研究を進めていくうちに、魅力的な笑顔には共通して黄金比があると判明しました。笑顔に黄金比が出現することに興味を持ち、そこから、笑顔の表情筋の活動パターンを調べたり、本格的に笑顔の研究を始めました。

 

「フランスでの研究を断った」

松本:独立のきっかけはなんですか?

菅原:大学院卒業後は、大学側からはフランスへ材料系の研究のために留学しなさいと言われていたのですが、笑顔の研究を続けたいという思いが強くありました。留学だと補助が出るので、資金面では良かったのですが、私はフリーランスで笑顔の研究を続けることにしました。笑顔の研究を守り育てていきたいという気持ちで独立し、非常勤講師をやりながら、いろいろなメーカーさんと共同研究なども行い、今では自由に笑顔の研究をしています。

 

「笑顔のコミュニティを作りたい」

松本:スタートしたころの仕事はどうやって探していたのですか?

菅原:ホームページを作って発信したり、論文や学会誌を見てくださったメーカーさんから声をかけていただきました。また、笑顔だけではなく、感性工学の専門でもありますので、ものづくりやサービスなど幅広い分野で対応できます。笑顔のエキスパートの方は多くいらっしゃるのですが、それぞれが個別に活動している状況ですので、学術的知見を共有するためにも、コミュニティを作っていきたいなと思っています。

 

「魅力工学という認知を高めたい」

松本:今後の仕事上での夢を教えてください。

菅原:笑顔の研究以外にも、最適なお化粧はどういうものかという、美と健康の研究もしています。感性工学会という学会で美と健康の企画セッションを設け、メーカーさんに参加していただき、美しいということは健康にも繋がるということを立証していこうという思いで取り組んでいます。

某メーカーさんと、美しい女性の体形は何かという研究を大規模に実施し、BMIなどの適正体重のほかに、姿勢も大切だということが分かりました。スマホにより猫背になっている方が多いので、姿勢を直すだけで声質や呼吸がよくなり、自律神経のバランスも保てます。これは魅力工学という分野にも繋がるので、魅力や感性といった分野の認知を高めていくことが夢です。

 

「あらゆることを研究してほしい」

松本:これから起業を考えている方へメッセージをお願いします。

菅原:まずは、できないんじゃないかという思い込みをなくし、自分が何に恐れているのかを見つめてほしいなと思います。知らないことがあるから恐怖と感じますので、まずは、目の前のことを自分のこととして考え、楽しんでほしいです。

 

ビジネスチャンスは本当に目の前にあり、笑顔との掛け算でもありますので、オープンなマインドで物事を捉えてほしいなと思います。そして、学問は学位を取るためではなくて、世の中をよりよくするために役立つものです。

私は笑顔や感性工学の研究のほかに、研究をプロデュースするという仕事もしており、これまでに、オタ芸の健康効果などを研究した学生もいます。これから起業する方や新しいことを始める方は興味のあることを研究し、誰もが共有できる知識を作り、知恵に昇華してほしいと思います。

 

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起業におすすめな本/社長の「1冊」

読書力―成功する本の読み方 

本を買う人は顔つきがちがう!本を読む人は顔が変わる! 本を買う人、本を読む人は時代をよくしていく力、自分の人生を切り開いていく力を持っている。その読書力をもってすれば、日本の危機は乗り越えられる。

本書は、そんな、本が大好きな人たちに本が大好きな著者がおくる熱いエール。

従来の読書に関する本とはちがい、単に本の読み方のみならず、本の書き方や出版の仕方、本作りの裏側、さらに著者の読書経験を踏まえた人間としての生き方まで、人生を幅広く豊かにする本である。

この本が新しい読書の楽しみをきっとあなたに教えてくれるはず。

 

 

スマイルサイエンス学会 代表理事
感性価値プロデューサー

博士(工学)   菅原 徹
Tohru SUGAHARA, Ph.D.

福岡県太宰府市生まれ。

2005年信州大学大学院工学系研究科生物機能工学専攻修了,博士(工学)。早稲田大学人間科学学術院助手,人間総合科学大学人間科学部助教,早稲田大学人間科学学術院非常勤講師,KAODACHI研究所アドバイザー、早稲田大学エクステンションセンター講師を経て,

現在,早稲田大学人間総合研究センター招聘研究員,東洋大学総合情報学部非常勤講師,東洋大学工業技術研究所客員研究員,株式会社MTG研究技術顧問。「感性形成を目指した笑顔の仕組みと創出に関する研究」に従事。

その他,筋電図,心電図を用いた生体計測や感性評価,人間環境デザイン心理学が専門。日本感性工学会,日本顔学会,日本認知心理学会,日本心理臨床学会,東京都感性工学研究会,リーガルカウンセリング学会会員。

スマイルサイエンス学会(SSS)代表理事。第5回,第8回日本感性工学会大会優秀発表賞ほかプレゼン賞を多数受賞。

笑顔の研究者としてテレビや雑誌などで注目を集め,講演家,プレゼンテーションの講師や就活アドバイザー,商品開発コンサルタント,メンタルヘルスコーチ,可視化アートディレクターとしても活躍中。

笑顔研究室
https://www.kanseismile.com/

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