第61回:インドのビジネスチャンス!課題があるから面白さが生まれてくる

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本日のゲストは、株式会社LA DITTA(ラ・ディッタ) 、代表取締役、小里博栄さん。株式会社LA DITTA(ラ・ディッタ)では、日本、シンガポール、インドを中心に、イベント事業、コンサル事業、飲食事業を展開しています。代表取締役を務める小里さんに、事業内容や起業に至るまでのストーリーを伺いました。

 

 

「同時並行で複数の事業を展開」

松本:現在どのような事業をされているのか、自己紹介をお願いします。

小里:株式会社LA DITTAは11年目を迎え、日本、シンガポール、インドにおいて、イベント事業、コンサル事業、飲食事業を展開しています。具体的な事業内容としては、募金貯金箱、ムンバイやシンガポールの経済新聞、インドでの宅配寿司事業、インドのお茶を日本に普及する活動など、複数の事業を同時に展開しています。

 

「クリエイティブなツイスト」

松本:会社名の由来を教えてください。

小里:LA DITTA(ラ・ディッタ)という言葉はイタリア語で「株式会社」という意味で、株式会社LA DITTAは、日本語に訳すと、株式会社の株式会社ということになります。一つのことに限らずに、様々なことに挑戦する会社でありたいということから、固有のものを想像できる名前ではなく、株式会社という意味のLA DITTAという名前にして、複数事業を展開する会社という意味を持たせています。世の中は日々どんどん変わっていきますので、弊社のノウハウや経験を活かし、クリエイティブな発想をツイスト、ひねりと加えることで、世の中のニーズに応えていける会社でありたいと思っています。

 

「すべてが大切なメインの仕事」

松本:たくさんの事業を抱えているなかでメインはありますか?

小里:まず、弊社の事業を詳しく説明させていただきますと、イベント事業としては、六本木ヒルズを貸し切って、ロンドンバスやイギリス車などを展示し、イギリス文化を楽しむ「The Great British Weekend」というイベントや、インド最大の日本見本市「Cool Japan Festival」などがあります。飲食事業は、インドではケータリングができる寿司屋、シンガポールでは、トンカツを黒いフライパンで提供する「フライパン食堂」などがあり、イベントや飲食を中心に多くの事業を展開していますが、そのすべてがメイン事業という考えで取り組んでいます。

 

「インドはビジネスチャンスが広がる国」

松本:御社の事業はインドとの繋がりが多いですが、理由はなんですか?

小里:インドは2050年に世界第二の経済国家になると言われています。4年ほど前に、スズキ自動車の鈴木修会長から、「インドは最低でも15年投資しないとリターンが難しい」ということを教えていただきました。弊社は、インドへ進出し、10年が過ぎたので、あと5年継続することで、楽しいことが起きるのではないかと考えています。これから、インドは全世界の利益を生んでいく国になりますので、継続的にインドと繋がりを持つことで、ビジネスチャンスは広がっていくと思います。

 

「インドへのイメージを変えたい」

松本:インドと日本のビジネスのあり方に違いはありますか?

小里:インドは広い国なので、州によってもビジネスのあり方は違いますが、インドと日本の大きな違いは、数字のマジックです。日本は1億2,000万人がビジネスの対象となりますが、インドは13億人いますので、ビジネスを大きく展開しやすいと感じています。インフラが整っていないことや、衛生面など、日本人から見たインドのイメージはまだまだ良いものではないと思いますが、実際のインドは、10年前と比べると、町も綺麗になりつつありますので、弊社の事業を通して、インドへのイメージを変えていきたいという思いもあります。

 

「課題があるから面白い」

松本:インドで事業展開する面白さはなんですか?

小里:インドは急成長している国で、今後、世界の中心になっていくと思いますが、インフラや貧困の問題など、解決すべき課題は山積みです。逆に言うと、課題があるからこそ、ビジネスチャンスが広がっていて、面白さが生まれてくると考えています。

 

「世界初の試み、募金貯金箱」

 

松本:御社の商品である、募金貯金箱はどういうものですか?

小里:自分のために貯金しながら世界のために募金するということが「募金貯金箱」の仕組みです。家で募金と貯金ができる世界初の発想で、子供たちが自分のために貯金することに加えて、募金という行為を通じて、世界に目を向ける意識を育てたいという思いで作りました。実際に、私の娘で実験してみたところ、7割のお金を世界のために募金し、残りの3割を自分のために貯金するという結果が得られました。今後は、募金貯金箱の普及はもちろん、大人用として、ウェブ上でも募金貯金箱の仕組みを展開することで、日本に寄付文化を広めていければなと思っています。

 

「うまくやれる道を探す」

松本:現在、インドに進出している日本企業は何社くらいあるのですか?

小里:今は、まだ千数社しかありません。進出が進まない理由としては、遠い、インド人の性格が分からない、衛生面、ご飯が美味しくないなどの壁があると思いますが、インドを何度も訪れたことがある私から言うと、ナンセンスで、料理も美味しいですし、人も親切です。もちろん課題もありますが、そのなかでうまくやれる道を探すことが大切だと思います。

 

「インドを無視して経営できない」

松本:今後、インドで注目される産業はありますか?

小里:インフラはインド政府と日本が協力して着工を始めていますし、アパレルブランドや自動車、食の分野での進出も多くなっていますので、すべての分野で可能性がある国だと思います。海外進出というと、アメリカ、ヨーロッパ、南米などの大都市をイメージしがちですが、逆に考えると、インドはまだ千数社しか進出しておらず、競合が少ないため、早めに進出することで確たるポジションを築ける可能性が高いと思います。これからは、インドを無視して、日本のみで経営していたら、もったいないどころか、危ないと考えており、インドが世界の経済大国になると言われている2050年に向け、今からインド進出を考えることも経営戦略だと思います。

 

「起業はローラーコースター」

松本:では、現在に至る、小里さんのストーリーを教えてください。

小里:私は神戸で生まれ育ち、阪神淡路大震災を経験し、そのときに、いつ何が起こるか分からないと実感し、いろんなものにチャレンジする人生にしようと気持ちが変わりました。高校は、神戸の国際学校に通い、卒業後は、イギリスのオックスフォード大学に進学し、世界中の人たちと交流することができました。その後、イギリスで国際税理士として活動し、独立しました。企業の生存率は10年後で2%、30年後で0.02%しかないと言われていますが、私も起業してみて、サラリーマンとは違い、安定した給料も貰えないし、福利厚生もなく、すべてがバラ色というわけにはいかないと実感しました。毎日がローラーコースターのように状況が変化するので、起業は大変なことだと思います。

 

「ベンチャーの帝王に拾われる」

松本:起業はうまくいったのですか?

小里:起業して、2、3年ほどで失敗し、その後、ベンチャーの帝王リチャードブランソンが会長を務める、ヴァージン・グループの面接に行き、「君、面白いね」ということで、求人数400人中、私のみ採用させていただきました。そして、ヴァージン・グループ、ダイソンは英国発の商品サービスを日本にてマーケティング担当の仕事に携わりました。

 

「失敗は可能性が広がる過程である」

松本:これまでの失敗したエピソードを教えてください。

小里:振り返ってみると失敗だらけですが、私は失敗とは思っていません。現在15個ほどの事業を展開していますが、継続してできているものもあれば、企画のままで実現できていないものや、事業になったものの今は休憩しているものもあります。11年継続できた秘訣としては、ポケットを増やすことが大切で、もし一つの事業が駄目になっても、別の道があることが大切だと考えています。壁に当たったとしても、失敗だとは思っていなくて、それは可能性が広がる過程であり、失敗、イコール、学びであると考えています。

 

「難しいことを発掘し解決する」

松本:成功は何だと思いますか?

小里:富を得ることが成功だと思う人もいれば、社会貢献することが成功という人もいて、成功のかたちは経営者によって違うと思いますが、私は会社を継続させることが成功だと思っていますので、あと、20年、30年と続けていきたいです。会社を継続させるためには、弊社の場合でいうと、常に15の事業を進める必要があります。継続するコツは、日本のみならず、海外にも進出していることで、様々な地域や人柄など、多くのネットワークが生まれ、そこで得た情報を別の事業に活かせることだと思います。また、周りに感謝することも大切で、もっと社会貢献するために、難しいことを発掘し、それを解決していく企業でありたいと思っています。

 

「ソーシャルインパクトを生み出す」

松本:新しく事業を始めるときのポイントはなんですか?

小里:ポイントは三つあると考えていて、一つ目は、楽しいか楽しくないか。二つ目は、誰もやっていないこと。三つ目は、社会にインパクトを与えられるかどうかです。最近のベンチャー企業のあり方として、フィランソロピーという考え方が流行しています。フィランソロピーとは、利他的活動、人類への愛に基づいて行動することを指す言葉です。弊社の事業である、インドでの宅配寿司というサービスも、お寿司を食べて、美味しいと感じ、健康になってほしいという思いで行っており、今後は、社会に影響を与える「ソーシャルインパクト」という考えを取り入れた事業がポイントになってくると思います。

 

「経営側もお客様も楽しめること」

松本:これから起業したいけど、どの分野で起業しようか迷っている方へアドバイスをお願いします。

小里:いざ起業しても、自分自身が楽しめないと、サラリーマンのほうが良かったと感じ、長くは続かないと思います。楽しいと思えることで起業することで、経営していて楽しいし、お客様も楽しいと感じてくれますので、自分自身と周りの反応が良いと思える分野を探すことがおすすめです。

 

「流れに任せないと分からない」

松本:最初のスタート資金はどれくらい用意したほうがいいですか?

小里:英語で「As it comes」という言葉がありますが、直訳すると、到来したときに考えるという意味です。私自身、流れに従う生き方をしており、起業もやってみないと分からないと考えていますので、資金がどれだけ必要かも、やってみないと分からないと思います。

 

「世界に目を向けること」

松本:意思決定力を磨くためにはどうすればいいですか?

小里:直感を信じることが重要だと思っていて、世界を見ることで直感力が磨かれます。私は年間最高4,000人と会ったことがあり、人と出会うことで世界を見るという考えもあります。また、テレビがどうやって動いているのか、紙がどう印刷されているのかなど、知らないことを知ることでも世界を広げることができるため、好奇心を持つことも大切です。私が昔、知見を広げるためにやっていたことをご紹介すると、普通、図書館に行くと、自分の借りたい本を借りるのですが、私は他の人が返したばかりの本が並べられている返却コーナーの本を5冊借りると決めており、全然知らない本を読むことで、思いもしなかったことを知ることができました。その後、図書館に通い、紙に触れることは落ち着くなという気持ちをもとにして、「旅行手帳」という商品を開発したのですが、旅の新しい発見ができるということで、グッド・デザイン賞を受賞しました。

 

「安定を追及する」

松本:今後の事業展開、仕事上での夢を教えてください。

小里:実は、2週間前に、インド政府から仕事をいただいたばかりなのですが、まさか政府から仕事をいただけるなんて夢にも思っていなかったです。たくさんの事業をやっていると、思ってもみなかったことにも出会え、何が起こるか分かりませんが、流れに任せつつも、安定した企業を目指したいなと思っています。

 

「起業は甘くない」

松本:起業を考えている方へメッセージをお願いします。

小里:起業にはリスクがつきものですので、サラリーマンを続けながら起業することも一つの方法だと思います。起業はかっこよく見えますが、そんなにかっこいいものではありません。白鳥が湖の上で優雅に浮いている光景を見ると、綺麗だなと思いますが、湖の下では一生懸命足をバタバタさせて、必死に浮いています。起業も白鳥と同じで、成功の裏には、難しさを背負っていますので、喜びと苦労の両方を知ったうえで起業するべきです。起業して10年で残っている会社は2%、つまり、100社中2社しか残らないという甘くない現実を理解し、それでもやりたいという方は、ぜひチャレンジしてほしいと思います。

 

「自由には責任がある」

松本:起業して良かったことはありますか?

小里:毎年、何千人という人に出会えることや、誰もやっていないことに挑戦できたり、スケジュールは自分で管理し、世界中に行けて、娘と多くの時間を過ごせることを幸せだと思っています。もちろん、自由の裏には責任が伴いますが、たくさんのことにチャレンジできることは、とても生きている感じがします。ラジオを聞いている方で、私と一緒に何かやりたいという方がいれば、お手伝いさせていただきます。会いたいと言っていただけた方には100%会うというのが、私のルールですので、ぜひご連絡いただければと思います。

 

 

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株式会社LA DITTA(ラ・ディッタ) 
代表取締役  小里博栄(コサトハクエイ) / ハリー
Harry Hakuei Kosato

神戸生まれ。国際学校でIB Diploma取得、ロンドンへ。ロンドン大学学士(社会心理学)、オックスフォード大学で修士(社会福祉)を取得。イギリスの会計事務所に勤め、イギリスで税理士を取得。

阪神淡路大震災を神戸長田で大きな衝撃を受け、「いつなにが起こるかわかい、毎日楽しく」と独立。
タイバンコクで語学学校、オーストラリアシドニーで出版事業等を手がけ、後英ヴァージン・グループに転職し、テレビCMなどを制作。ACC賞を受賞。英ダイソンにヘッドハントされ、マーケティングを担当。日本進出に携わる。2006年に株式会社LA DITTAを設立。

日本、インド、シンガポールを拠点に、日本食材の輸出入とPR を行い、経済産業省、農林水産省、中小企業庁、観光庁、 JETRO等の事業に携わる。その風土から企業撤退の多いインドで、10年以上日印文化交流の担い手となっている。
 

株式会社LA DITTA
http://www.laditta.jp/

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