第68回:営業専門のセールストレーニング。組織と個人の営業力強化・潜在力開発パートナー
IDEAストーリー
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本日のIDEAストーリー。ゲストは、株式会社トランセス、代表取締役、川口徹さん。株式会社トランセスでは、営業専門のコンサルティング事業を行っております。代表取締役を務める、川口さんに、事業内容や起業に至るストーリーを伺いました。
「営業専門のセールストレーニング」
松本:現在どのような事業を行っているのか、自己紹介をお願いします。
川口:株式会社トランセスでは、法人や個人事業主を対象に、営業専門のコンサルティング事業として、コミュニケーションの取り方や目標管理、マーケティングで見込客を開拓したりなどのセールストレーニングを行っております。また、私は、『成功の9ステップ』で有名な、ジェームス・スキナー氏のコンテンツを企画、運営、販売する、有限会社トゥルーノースの代表取締役社長も兼任しています。
「ミュージシャンを目指していた」
松本:これまでに至る、川口さんのストーリーを教えてください。
川口:もともとはミュージシャンになりたくて、上京し、一緒に活動していたベーシストの紹介で渋谷にあるプロダクションのオーディションを受け、ギターとして採用していただきました。仕事内容は、キャバレーや米軍キャンプへ行き、オールディーズなどの生バンド演奏を楽しんでもらうというものでした。毎晩夜通しで演奏していましたが、日給5,000円と高いものではなく、演奏しすぎて、好きだった音楽が嫌いになってしまい、音楽で食べていきたいと思っていましたが、思い描いていた理想と違い、ミュージシャンという夢は諦めました。
「サービス業の楽しさに目覚める」
松本:その後はどんな仕事をされましたか?
川口:人材派遣会社に登録し、ホテルのウェイターを約3年経験して、その後、第一興商に入社し、歌舞伎町にある、ビッグエコーというカラオケ店に配属され、2年目には店長を任せていただきました。
カラオケ店の地下にエンターテインメントクラブがあり、私が以前やっていた、オールディーズの音楽などを演奏して、お客様を楽しませるというクラブだったこともあり、気になって、時々、遊びに行っていました。しばらくすると、そのクラブのオーナーさんが、「うちで働いてみない?」と声をかけてくださり、カラオケ店からクラブへ転職することになりました。カラオケ店の客層は若者中心でしたが、クラブは事業家や芸能人も多く、よりサービスの質が求められ、サービス業の楽しさに目覚めていきました。
「成功者が身近にいたことで社長への意識が高まった」
松本:クラブ時代には起業意欲はあったのですか?
川口:クラブ時代の給料は総支給32万円ほどで、妻と子供2人の4人暮らしで、そんなに生活は豊かではなかったのですが、好きなサービス業でしたし、いい会社だったので、不満はありませんでした。
クラブのお客様は事業家などの成功者ばかりで、お客様に可愛がっていただき、ゴルフや食事に誘っていただくことも多く、一晩で私の給料の何倍もお金を使うといった、リッチな様子を目の当たりにすると、私との差はなんだと思うようになりました。20代のころに、身近に成功者がいることで、社長への憧れが強まり、もっと儲かる仕事がしたいと思うようになりました。
「お金持ちになれる方法を相談した」
松本:すぐに独立はしなかったのですか?
川口:独立する気持ちはなく、まずは、稼げる仕事は何か考えていました。お世話になっていた事業家の方に、「どうすれば、稼げますか?」と相談したところ、「君は何ができるの?」と言われ、サービス業が得意だという話になり、「それなら、営業をしてみなさい」とアドバイスしていただきました。
営業というと、アタッシュケースを持って、ドアにつま先を入れて、お客様を獲得するというイメージを持ち、乗り気ではなかったのですが、お金持ちになるためと思い、営業の仕事を探し始めました。しかし、塾、印刷、イベントなど、様々なジャンルの営業職の面接を受けましたが、6社不合格で、7社目に受けた、ナポレオン・ヒル財団に採用が決まりました。
「逃げたくて仕方なかった」
松本:営業は順調にいきましたか?
川口:自己啓発系の教材を電話で紹介するという営業方法でしたが、何か商品を購入してもらうということは、お客様の気持ちに変化を与えて、紹介された商品を買っていただくというプロセスが必要となります。
しかし、私は、サービス業が長かったので、お客様は神様という意識が高く、お客様の気持ちを大切にしすぎて、どうせ営業しても買ってくれないだろうと躊躇し、一歩踏み込んだ営業をすることができませんでした。相手を否定してまで、商品を提案するということができずに、入社して2カ月は営業が嫌で、営業しているふりをして、時報に電話をかけるなど、逃げたくて仕方ありませんでした。
「悔しさから這い上がり、営業のコツをつかむ」
松本:その後、何がきっかけで営業のコツをつかんだのですか?
川口:成績が伸びなかったときは、前職の仲間たちと付き合いも続けていて、いつでもサービス業に戻れるように逃げ道を作っていましたが、負けず嫌いな性格があり、何も成果を出していないまま、営業を辞めることは悔しいという思いが込み上げてきました。
少しでも爪痕を残すためにはどうしたらいいか悩んでいるときに目に飛び込んできたのが、ナポレオン・ヒルの書籍に書かれていた、「船を焼け」という話です。目標達成のためには退路を断てという意味で、それまで逃げ道と思っていたサービス業の仲間としばらく連絡を断つことにしました。
当時の給料は、売上を出さないと、家族が養えるようなお給料は貰えなかったのですが、妻にも「半年間やらせてくれ」とお願いし、自分でも販売教材を試してみて、真剣に営業と向き合うことにしました。以前は、すぐに電話を切っていたお客様ももう少し話し込んでみると、実は興味があったという方ばかりだということに気づき、そこから、アプローチのコツをつかむことができ、入社3カ月目で初オーダーを取ることができました。
「お客様のことを知る」
松本:トップ営業マンになったコツはありますか?
川口:成績優秀者トップ3の方たちは全員メガネをかけて、ダブルのスーツを着ていたので、まずは、見た目を真似しました。そして、お客様の状況をとにかく把握したあとではないと、提案をしないということを心掛けました。
お客様に投げかける質問の仕方も勉強して、売ろうと思って、電話をせずに、とにかくお客様のことをよく知ろうと思い、営業をしていたことが売上に繋がったと思います。結果として、トップ成績も何回も取り、プレイングマネージャーという役職にも昇進することができ、チームでの営業記録もいまだに破られることのない成績を出すことができました。
「家族との時間を大切にするために退職」
松本:一旦、退職されていると聞いたのですが、その理由はなんですか?
川口:朝早くから夜11時ごろまで勤務し、終電で帰宅するという毎日で、稼いでいたものの、お金を使う時間がないという生活が続いていました。子供もいたので、もっと家族と過ごす時間が欲しいと思い、セミリタイヤというかたちで退職し、何カ月か南の島に行ったりして、半年間ほど、ゆっくりとした時間を家族で過ごしました。
「再就職し、飛び級で営業本部長へ」
松本:その後、また、同じ会社に戻ったのですか?
川口:当時、賃貸に住んでいたのですが、家族のために家を購入したいと思いました。仕事に飽きても簡単には辞められない状況を作るために、私の信用を最大限まで上げた価格で都内に家を購入し、前職である、ナポレオン・ヒル財団に再就職しました。月23万円のローンを返済するために、売上を上げなければならないこともあり、必死で営業したところ、すぐに結果を出すことができ、翌年には5階級の役職を飛ばして、営業本部長に昇進することができました。
「プレイヤーとマネジメントの違いに苦戦」
松本:営業する側からマネジメントする側の違いはありますか?
川口:ナポレオン・ヒルという会社は、能力開発や自己啓発の老舗企業ということもあり、広告をしっかり出せば、反響も高く、優秀な人材にも恵まれていたこともあり、私が関わってから、全国に支店も増え、世界で一番大きな自己啓発企業になったと思います。
しかし、自分が成果を出した営業方法を社員に押し付けてしまい、優秀な人材が辞めてしまい、マネジメントとして、うまくやれていたかと振り返ると、もっといいやり方があったのではと反省しています。
「黒字から一転、赤字経営に」
松本:会社の規模はどんどん大きくなっていったのですか?
川口:当時の創業者であり、筆頭株主の決断で、上場を目指して、投資ファンドに会社を持ってもらい、公的な会社にするという道を選択しました。しかし、投資ファンドが入る前は、経営も順調でしたが、投資ファンドが介入して3年ほどで急落してしまいました。
理由は、営業よりもコンプライアンスを重視する経営方針により、営業に制約がかかり、売上が激減してしまったことが挙げられます。黒字経営の会社が一気に赤字経営へ落ち込んでしまいました。
「借金を背負ってでも、社長を引き継いだ」
松本:莫大な借金があるにも関わらず、なぜ社長を引き継いだのですか?
川口:赤字になり、投資ファンドの役員も辞めていき、借金も膨れ上がったなか、私に社長をやらないかと打診がありました。弁護士に状況を説明したところ、絶対に社長にならないほうがいいと言われましたが、自分自身のお客様がいましたし、一緒にやってきたスタッフも、もう一度やろうと言ってくれたので、火中の栗を拾う覚悟で社長を引き受けました。
グループ会社の社長をやっていた経験も活かし、とにかく会社を存続させるというミッションを掲げ、債権者回りから取り組み、3年で借金をゼロにし、黒字化することに成功しました。
「コンサルタントとして独立したい」
松本:いつごろから独立したいと思い始めましたか?
川口:営業本部長に就任した、30歳ごろに、営業コンサルタントとして独立したいという夢が芽生えました。独立のために、まず10年経験し、40歳になったら独立という目標設定をして、39歳で社長を経験し、42歳で独立することができました。売れないものを売るという仕事は素晴らしいことだと思い、その営業方法のノウハウを伝えたいという思いで独立しました。
「ビジョンを大事に生きていく」
松本:ナポレオン・ヒル時代に学んだことはありますか?
川口:私は、重要な役職に選んでいただくなど、人に気に入っていただけていますが、それは、いつも目標を持ち、何を大事に生きているかを明確にしていたからだと思います。
目標を明確にするために、今年何をするかということや、自分が大事にしている価値観や、信条、自分の憲法みたいなものを毎年決めています。何を大事にして、どう生きて、死ぬときに身近な人たちからどう言われたいのかを意識することで、目標設定も長い目で続けることができるはずです。
また、優秀な人は私以外にもたくさんいますが、ビジョンを持ち、勤勉に働き、貢献したいという気持ちを持つことが、お仕事をいただくということに繋がっていると思います。そして、何より、人から信頼されることが大切です。
「寒空のもと、人生に向き合う」
松本:目標設定する習慣はどういうものですか?
川口:私は実家が山梨の富士吉田という場所ですが、お正月に帰省すると、実家の付近の富士山が綺麗に見える山の中腹で、1年の目標を考えるという儀式を行っています。
自宅で目標を考えると、本を読みたい、テレビが見たいなどの誘惑があり、なかなか集中できないので、明け方で氷点下のなか、富士山を見ながら集中することができ、厳かな気持ちで1年の生き方を考え、人生に向き合っています。
「営業の研修施設を作りたい」
松本:今後の事業展開、仕事上での夢を教えてください。
川口:営業を学べる研修施設を作ることが夢です。私もジェームス事務所の『成功の9ステップ』という宿泊研修に参加したことがありますが、日常を離れて研修をすると、得られる経験値も変わり、集まった仲間同士のコミュニケーションの質も高まると思いますので、宿泊可能な施設を作りたいと思っています。
そして、ミュージシャンやエンターテインメントの仕事も経験していますので、音楽や演劇も楽しめるような施設にしたいという夢があり、施設のイメージをいつも携帯し、ビジュアライゼーションしています。
「曖昧な気持ちで起業しない」
松本:最後に、起業を考えている方へメッセージをお願いします。
川口:やりたいことが決まっている方は、即行動すべきですが、独立したいと漠然に思っているだけで、何をしたいか決まっていない方は起業すべきではないと思います。
社長になりたいという曖昧な気持ちで成功するほど簡単なものではありませんし、自分が何をやりたいか分からないのに、お金を払ってくれるお客様はいないです。この仕事が天職で、世の中で最もいいサービスだと決心し、今の仕事では制限があり、このサービスを展開できないとなれば、起業は一つの手段だと思います。
起業に憧れる気持ちは素晴らしいことですが、具体的にやるものがなければ、今の仕事を一生懸命やり、唯一無二の存在になることで、その結果が独立後に大きなアドバンテージになるはずですので、今できることを突き詰めて、結果を出し、やりたいことを見つけて、独立するべきだと思います。
起業におすすめな本/社長の「1冊」
心の充実と生活の充実を実現する、ナポレオン・ヒル博士の「成功の科学」。「何をなすべきか」ということばかりではなく、「どうすればよいのか」ということもわかりやすく具体的に教えてくれる。
川口 徹(かわぐちとおる)
株式会社トランセス 代表取締役
有限会社トゥルーノース 代表取締役
ナポレオン・ヒル財団 アジア/太平洋本部認定講師
1968年生 山梨県富士吉田市出身
企業のセールスマネジメント、ビジネスモデル・マーケティングシステム・営業組織構築の支援、個人の営業スキルアップ、脳力開発トレーニングを専門とするコンサルタント
大学卒業後、株式会社第一興商、ホテル・アミューズメント企業で営業及び店舗マネージャーを経験し、1997年世界最大級の脳力開発企業であり、ナポレオン・ヒル、速聴プログラム等多くの脳力開発を普及させた株式会社エス・エス・アイにBtoC営業兼脳力開発インストラクターとして入社。
2年目に年間個人売上2億円を超すトップセールス賞及びベストセールスマネージャー賞を受賞し営業本部長に昇進。翌年にはプロパーとして最速最年少で取締役就任。250名を超える組織のマネージャーとして、営業、出版、研修、カスタマーサポート部門を統括し、会社を業界世界最大の売上へ成長せることに貢献。
2003年関連の健康食品企業の代表取締役を兼任後、2007年5月株式会社エス・エス・アイ代表取締役に就任。創業者で日本の自己啓発業界のパイオニアである田中孝顕氏を始め、国内外の権威(※)からの直接指導、業務提携を経験し、2010年12月独立。
ライフワークでもあるセルフイメージ改善ワークを取り入れたコンサルティングには高い評価を得ている。
M&A、会社分割の実務経験から企業再建(事業再生)の分野でも活躍。
前職時代も含め、経営者、会社員、主婦、学生等300名以上のクライアントの脳力開発インストラクション、500名以上のセールスパーソンの教育指導、幾多のセミナー講師実績を持つ。
妻・二人の愛娘・息子の5人家族。多摩の自然豊かな東京都調布市に在住。
株式会社トランセス
http://transcess.com/
有限会社トゥルーノース(ジェームス事務所)
https://www.jamesskinner.com/