第34回:体育会学生の採用支援|アスリートプランニング
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本日のゲストは、株式会社アスリートプランニング 代表取締役社長 中村祐介さん。
株式会社アスリートプランニングでは、「アスリート」をキーワードとして、人と組織の活性化を支援することを事業内容としています。代表取締役社長を務める中村さんに、事業内容や起業に至るまでのストーリーをお伺いしました。
「体育会系の学生を企業に紹介する」
松本:御社の事業内容を教えてください。
中村:弊社は、アスリートプランニングという会社でして、大学で体育会系の部活をやっている学生さんに対して就職支援を行っています。今、大学で部活動をしている学生さんを採用したいという企業が増えてきていますので、企業と学生をマッチングさせるということを事業内容としています。
なぜ体育会系の学生さんに需要があるかというと、近年、一人で楽しめる嗜好品などが増えており、なかなか組織に属し、共に目標を追いかけるということが少なくなってきました。しかし、企業では社員一丸となって、目標を追いかけるというスキルが必要になってきます。そこで、体育会系の学生さんであれば、組織に属してやってきたという経験が他の学生さんより長く、目標達成意識が強いということが重宝されている理由だと思います。
「紹介で会員数が増える」
松本:会社の特徴や強みはありますか?
中村:人材を紹介する事業の場合は、就活生に登録をしてもらって、サービスを提供するという流れになるのですが、他の人材会社さんだと、ウェブ上で学生に登録を促したり、広告を利用して会員を増やしていくというのがメインだと思うんです。
しかし、私たちの場合は、すでに登録してある4年生から後輩である3年生を紹介してもらうというかたちで会員数が増えていきます。それは、一人の学生さんに対して、手厚い就職支援を行っていますので、その結果、弊社を信頼していただき、後輩を紹介したいという気持ちになっていただけているという強みでもあると思います。
「就職先は体育会系企業とは限らない」
松本:体育会系の学生を採用したいという企業はどういう会社が多いですか?
中村:警備会社、スポーツメーカーなど、スポーツと関わりのある企業からの採用が多いと思われがちですが、意外とそういうわけでもないんですね。業界でいうと、金融から商社、大手メーカーなどを含めて、かなり幅広い業界からニーズをいただいているというのが特徴です。
入社してスポーツをやらせるわけではなく、組織に順応する力であったり、共に目標を達成する力、コミュニケーション能力ということを評価してのことなので、体育会系の業種に絞られているわけではないです。
「学生を紹介して採用に至る割合は約9割」
松本:体育会系の学生さんは企業に順応しやすいということですか?
中村:確実なデータはないのですが、体育会系の学生さんは入社後、部活で培ってきたコミュニケーション力などを活かし、会社に順応していると思います。というのも、企業さんとのお付き合いのリピート率が弊社は非常に高いことが理由として挙げられます。
通常、人材会社のリピート率は、6~7割程度と言われていますが、弊社の場合、一度お付き合い頂いた企業さんがリピートして頂ける率は、9割近くあり、人材会社の平均を大きく上回る結果が出ています。それは、紹介した体育会系の学生さんが高いコミュニケーション力や目標達成意欲が強く、入社後しっかり活躍してくれて、次も体育会系の学生さんを採用したいと思わせてくれているからだと思っています。
「就職先はどういう人に会える仕事かということを重視した」
松本:大学からの中村さんのストーリーを教えてください。
中村:大学は立命館大学の理工学部電気電子工学科というところで、発光ダイオードに関する研究を行っていました。理系の研究をしていたのですが、自分には研究職は合わないと思い、就職先は文系にすると決めました。
就職先でこだわった点は、営業先でどういう人と会えるかにこだわり、普段なかなか会うことのできない経営者や、何か自分で行っている相手と話ができる仕事がしたい思い、銀行や証券会社を受けて、日興コーディアル証券に入社しました。そこで営業として2年ほど勤務しました。
「自ら何かを生みだす人間になりたいと思った」
松本:証券会社を辞めた理由はなんですか?
中村:営業先では中小企業のオーナーさんと話す機会が多かったのですが、その方たちと話していると、「俺らはこんな会社にしたい」、「俺らはこんな組織にしたい」と、主語が「自分たち」で、将来の夢を熱く語っていることをよく耳にしました。証券会社自体は楽しい仕事でしたが、それよりも自分で何かを生みだす仕事も一度チャレンジしてみたいという気持ちが強まり、小さな派遣会社の役員として経営に携わることになりました。
「人材派遣会社で今のスキルを身につける」
松本:派遣会社ではどういう仕事を行っていたんですか?
中村:人材派遣会社で工場などに人を派遣したり、営業を行っていました。しかし、車の下請け工場などに派遣していたこともあり、リーマンショック後、経営が悪化し、その会社は辞めることになりました。結果、そこでは3年ほど勤務し、長くは続かなかったのですが、今の人材紹介事業に結びつくスキルは手にすることができました。
「一度は一般企業に就職が決まったが、夢を諦めきれなかった」
松本:その後はどんな人生を歩みましたか。
中村:人材派遣会社を辞めたとき、実は子供が生まれたばかりで、自分のやりたいことは二の次で、とにかく家族にご飯を食べさせるという一心で就職活動を行いました。長く続けられそうな安定感のある会社などを受け、化学メーカーに内定が決まったんです。
しかし、内定が決まったものの、心のなかで「自分で何か生み出したい」という気持ちが日に日に強くなっていったんです。営業マンとして入社したあとの何十年先を考えたときに、自分で何かを作りだすことはおそらく一生ないだろうという恐怖感があり、入社3日前に内定を辞退させていただきました。
その後、お金もなく、自分で起業するということは難しかったため、努力次第で将来的に自分で作る側の仕事ができる就職先はないか探し、今のアスリートプランニングという会社の関西支社の立ち上げメンバーを募集しているという求人にたどりつきました。
「オーナーの人柄に惹かれ、入社したいと思った」
松本:アスリートプランニングという会社のどこに魅力を感じたんですか?
中村:自分で作る側の仕事がしたいと就職先を探していくなかで、複数の会社を受け、アスリートプランニングに入社するかどうかは、最後まで悩みました。
入社の決め手となったのは、当時のオーナーとの出会いです。面接時に、「この人だったら、何か一緒に作ろうとしてくれているな」と、すごく感じました。返答期限ぎりぎりまで悩んでいた時に、オーナーから「どう、返事決めた?」と直接電話があったんです。悩んでいますと正直に話すと、「今からそっちに行くよ」と驚きの返事が返ってきました。夜の遅い時間帯だったので、「明日の朝、君の家の近くにいるから、時間が取れたら会おう」ということを言われたんです。
直接会って、会社のことについて伝えたいことを全部伝えたうえで、うちに就職するか決めてほしいということでした。そのときに、そこまで言ってくれるならというか、これから入社するかもしれない人材のことを大切に考えてくれている人であれば、一緒に働きたいと思い、オーナーの人柄に惹かれ、入社を決めました。
「努力次第で仕事を任せてもらえる可能性にかけた」
松本:他に入社の決め手となったことはありますか?
中村:もう一つの理由は、立ち上げメンバーとしてスタートできるということです。初めのうちは、東京で、すでに数年職務経験のある方がサポートで関西支社に来ていただいていたのですが、その方は東京に家庭もあったので、いずれは東京へ戻ることが分かっていました。
そこで、自分の努力次第で関西支社の責任者になって、自分に仕事を任せてもらえる可能性があるということも入社の決め手になりました。今はお陰さまで、責任のあるポジションにつかせてもらい、採用を担当することもあります。私を面接してもらったオーナーのように、直接自宅付近まで行くということはさすがにありませんが、面接後に一緒にご飯に行くことや直接電話をかけたりということはあります。
採用側と採用される側がお互いのことを全部知って、入社を決めてほしいという思いがあるので、理解を深めあうということに対しては、時間を費やしています。
「自ら行動を起こすことが出世の道」
松本:2011年に入社して、短期間で社長に就任していますが、なぜ短期間でそこまでのポジションになれたと思いますか?
中村:一番大きいのは運だと思っています。すでに会社内の人間関係や営業先とのコネクションができあがっている東京本社ではなくて、一からスタートする関西支社に配属になったということが運が良かったですね。
立ち上げで社員も4人ほどしかいませんでしたから、企業さんの採用支援から、学生さんの支援、大学のキャリアセンターへの説明もすべて自分で行わなければならない状況でした。大変な仕事でしたが、企業側、学生側の意見をすべて生で聞けたことが今のスキルに繋がっていると思っています。
例えば、企業側が本当に知りたい情報というのは、内定率だとか、そういう情報ではなく、どこどこの何部の学生さんがどういうことを言っていたとか、学生の生の声を聞きたいわけです。私は学生と直接会うこともしていたので、「どこの何部の学生さんは今こういう取組みをしています」というような生の声を、直接企業に伝えることができました。
逆に、学生さんには企業と直接話をして感じた生の声を伝えることができ、大学側からも、よく企業のことを知っていますねと信頼を得ることができました。当時は、朝8時ごろに出社し、毎日終電で帰るような大変な勤務でしたが、すべてのことを自分でやるという経験が、今のポジションに繋がったと思っています。
「地方の学生さんにもサービスを提供したい」
松本:今後の御社の事業展開、仕事上での夢を教えてください。
中村:ミッションの一つとして、目標を持って生きている人を増やしたいということです。それに対して、軸は二つあって、一つは、体育会系の学生さんの就職支援サービスを全国に広げたいということです。
現在は東京と大阪の2拠点の学生さん向けにサービスを提供していますが、ウェブでのサービスや、体育会系の学生さんならではの就職支援のサービスをもっと展開して、地方の学生さんにも就職支援をしていきたいというのが夢としてあります。
もう一つの軸は、アスリートの就職支援のスペシャリストとして事業を行っていますので、就職活動だけにこだわるのではなく、部活動が発展していくようなサポートなどができればと思っています。
「成功するカギはビジネスモデルと組織づくり」
松本:最後に起業を考えている方へメッセージをお願いします。
中村:私も小さい会社を経営したり、アスリートプランニングで成長段階から携わってきたなかで、ビジネスで成功するカギは、ビジネスモデルと組織づくりにあると思います。ビジネスモデルは、他とどう差別化するか、優位性を出すかがポイントですが、このビジネスモデルがうまくできても、一人では何もできません。
理想とするビジネスモデルを一緒に育ててくれる人材、つまり、組織を作ることで、ビジネスモデルがより効率よく実現できると思います。ビジネスモデルと組織、この二つを常に定点観測しながら、起業へ向けてチャレンジしていただけるといいのかなと思います。
株式会社アスリートプランニング 代表取締役社長 中村祐介
体育会学生の採用支援におけるリーディングカンパニー。
新卒採用支援事業において、他社と一線を画す切り口として、『ヒトメディア』が挙げられます。当社の新卒採用支援は体育会学生にフォーカスしているのが特徴。キャンパスに社員が出向き、学生一人ひとりと向き合い、顔の見える関係構築に取り組んでいます。
学生との対話では就職に関わる話だけでなく、日々の試合や練習の話から、プライベートの話まで行い、深い信頼関係を構築することで、学生にとって非常に大きな影響力を持っています。このアナログなつながりを武器に、様々な企業の採用を支援しています。また、単純な支援のみではなく、採用の企画から関わることも多く、説明会設計や、新入社員の研修なども手掛けています。
上記の事業を軸に、直近では、長く働きたい女子学生(キャリア志向の女子学生)向けの新卒就職支援サービスや、障がい者の方の就職支援サービスも立ち上げました。今後も、今までに培ったノウハウを武器に、他領域も含め、数多くの求職者をサポートしていきたいと思っています。
アスリートプランニング
http://www.athlete-p.co.jp/