第67回:手間・面倒くさいでニッチな市場で20年。社内でのITトラブル支援!

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このサイトでは、これから起業に興味のある方に向けて、成長のサービスを展開されている方、面白いサービス、商品を出されている方、各分野の実績を出されている専門家の方々にインタビューということで、各スペシャリストの方にお話を伺ってしまおうというような内容で、毎週お届けしています。

本日のゲストは、チェックフィールド株式会社 代表取締役 目代純平さん。チェックフィールド株式会社では、IT全般の運用コンサルティングや運用管理事業などを展開しています。代表取締役を務める目代さんに、事業内容や起業に至るまでのストーリーを伺いました。

 

 

 

「ITに関する悩みごとを解決」

松本:現在どのような事業をされているのか、自己紹介をお願いします。

目代:弊社は、法人向けのITに関する運用管理がメイン事業となります。社内でパソコンやインターネットを使用している会社が多いなか、メールが送れない、インターネットにつながらないなどのトラブルが起きた場合、自社に即座に対応できる社員がいないため、解決に時間を要することもあります。

 

私たちは創業19年目を迎え、お客様の会社でITに関する様々なトラブルを見てきたので、その経験を活かし、ITに関する悩みごとをスピーディに解決することができます。例えば税金の計算も社員が行えば、外注コストかかかりませんが、計算ミスなどのリスクが発生するということで税理士と契約する企業が多いと思います。

それと同じように、ITのトラブルも社員が解決することもできますが、時間もかかり、素人が対処すると間違った解決につながるかも知れませんので、その部分を私たちのようなIT管理会社にアウトソースしていただくようなイメージです。

 

「若い人がパソコンに強いわけではない」

松本:ITトラブルを社内で解決するとどうなりますか?

目代:よくある事例として、年配の経営者が、若い人はパソコンは使いこなせると勝手に思っていて、何かトラブルが起こると、若手に解決しろと指示を出します。若い人が全員パソコンを使えるわけでもなく、もし使えたとしても、その管理までできるとは限りません。

若手社員はグーグルなどで調べて解決しようとしますが、私たちからすると簡単に解決できることも時間がかかってしまい、彼らが本来やるべき仕事の時間も削られ、最悪の場合、若手社員が辞めてしまうというケースに至ります。社員に頼むとむしろ非効率だということに気づいている企業はIT管理を外注することも多く、弊社も年々お引きあいが増えています。

 

「ニッチな市場で20年」

松本:営業などはどういうふうにされているのですか?

目代:現在85社ほどのお客様と取り引きさせていただいていますが、8割以上はご紹介なので、新規営業はほとんどしていません。その理由は、IT系の会社はたくさんありますが、運用管理業務は手間がかかるうえに、あまり儲からない部分なので参入する会社も少ないことが考えられます。

以前、大手企業が参入し、弊社と提携してお客様を紹介し合うということになりましたが、すぐに撤退してしまいました。ITの運用管理というニッチな市場で競合も少ないため、弊社は20年続けられているのだと思います。

 

「子供たちに正しい知識を持ってほしい」

松本:インターネットに関する講演やワークショップも開催しているのですか?

目代:ここ数年、LINEなどが普及し、中学生からスマホを持つという傾向があります。昔であれば、「我が子にはケータイやスマホは持たせない」という親御さんもいましたが、今では友達同士のコミュニケーションや部活動などの連絡ツールとしても欠かせないため、持たせないという選択は少なくなってきています。

 

日本では、情報ネットワークを正しく利用する「ネットリテラシー」への理解が遅れているにも関わらず、小さいころからスマホなどでインターネットに触れる機会があります。

それをきちんと理解して使用しないと、炎上など取り返しのつかないことになる可能性があるため、インターネットに関する正しい知識を知ってもらおうということで、子供から大人まで幅広い世代を対象に講演やワークショップを開催しています。

 

「大人も子供も理解すべき」

松本:子供にとって、スマホを持っていないと周りについていけないという感覚ですか?

目代:子供の将来の夢に、ユーチューバーがランクインしたときは、一瞬世も末かと思いましたが、よく考えてみると私たちが子供のころの「テレビスターになりたい」と夢見ていたことと同じように、テレビからインターネットに時代の流れが変わっただけだと思います。

 

Youtubeを見たり、ゲームをする子供たちが増えているなかで、突然、架空請求メールが送られて、何か悪いことをしたと思い誰にも相談できずに貯めたお小遣いで支払ってしまったという事例もあります。

架空請求メールが来たとき、子供が変なサイトにアクセスしたと思い込み、怒ってしまう親御さんもいますが、架空請求メールは安全に使用していても届くものです。そのことを知らないで怒鳴ってしまうと、子供は萎縮しますので、詐欺だということを親も子も理解することが大切です。

 

「ネットに潜む隠語」

松本:インターネットの恐怖はどんなものがありますか?

目代:インターネットの世界には隠語と呼ばれる、特定の仲間だけで知られる言葉が存在します。犯罪をしようとしている人たちはこれらの言葉でその相手を探すのです。その意味を知らないと、インターネットでどういうやり取りをしているのか理解できません。例えば、以下のような隠語があります。

・15SP(援助交際で15,000円サポート)

・WU吉(諭吉2枚;20,000円で援助して)

・JS6(女子小学6年生)

・JC2(女子中学2年生)

・リクムービー(リクエストムービー;リクエストした動画を送って)

・氷(覚せい剤)

・穂別(ホテル代別)

 

このように、ぞっとするような言葉がネット上では飛び交っていて、フィルタリングがかかっていないスマホでこのような言葉を検索すると、簡単にいかがわしいサイトが表示されてしまいますので、大人にも子供にもネットに隠された闇を知ってほしいと思っています。

 

「間違った使い方で取り返しのつかない人生に」

松本:スマホ教育では何を伝えているのですか?

目代:スマホでインターネットを利用するということは、社会とつながっているということと同じなので、どうすれば自分の身を守れるかという話を中心に伝えています。間違った使い方をした例として、コンビニのアイスケースのなかに入った写真を投稿したり、バスの後ろにつかまってみた動画を公開するなどして、炎上したケースがあります。

 

最も衝撃的な事例としては、元サッカー日本代表の稲本選手と女優の田中美保さんが食事をした、恵比寿にあるウェスティンホテルの従業員が、二人の様子をツイッターに投稿した結果、炎上したものがあります。この事件が起こったのは今から7年前ですが、「ウェスティン 稲本」と検索すると、一部始終を投稿した女子大生の本名が検索結果に表示されます。

しかも、本名だけではなく、彼女の自宅住所や友人との写真、学籍番号までもが掲載されています。これがSNSの恐ろしさで、一度掲載されてしまうと、一生インターネット上に残ってしまうと考えてください。私は、間違った使い方で取り返しのつかない人生を歩んでほしくないという思いで、講演会を開いています。

 

「デジタルタトゥー」

松本:他にも恐ろしい事例はありますか?

目代:男女関係の例を挙げると、付き合っているときは面白がって、裸の写真を撮っていたけれど、いざ彼女から別れを切りだしたとき、「お前の裸の写真をばらまくぞ」と脅されて、別れられないというケースもあります。

 

そして、お金欲しさに自らの裸の写真や動画を販売する女子高生がまれにいますが、一度写真を公開してしまうと、インターネット上には一生残ります。たとえ掲載されたページは専門家に依頼して削除することができても、写真は簡単に端末にコピーできますので、いろいろなところに拡散して一生残ることになります。

『デジタルタトゥー』という言葉もあるように、知識を持っていなければ深刻な事態に陥ります。そのため、講演のあと時間があれば、親と子供が一緒になって、スマホを使ううえでのルールづくりを行うワークショップも開催しています。

 

「学生起業家のお手伝い」

松本:目代さんが今に至ったストーリーを教えてください。

目代:大学時代、一橋大学の学生が、パソコンに強い学生をメンバー登録し、パソコン関係の家庭教師の派遣などを事業とした「ホライズン」という会社を作りました。吉祥寺のアパートの一室から始まった会社ですが、私も創業メンバーの一人としてお手伝いをしていました。

そのまま役員にならないかとお誘いもあったのですが、そのころは大手企業に就職したいという気持ちが強く、お断りしたのです。今では、この学生企業は、「株式会社HDE」という大企業となり、クラウドやサーバー等の関連事業を展開しています。

 

「無線LANの研究でアメリカへ」

松本:もともとパソコン関係に詳しかったのですか?

目代:無線などは専門で学んでいたこともあり、学生時代に大手電機メーカーから、アメリカでのインターンに誘っていただき、無線インターネットの研究を行いました。

当時はこのまま大手メーカーに入社できるのではないかと密かに思っていましたが、当時はまだ光ファイバーやADSLも一般家庭に普及しておらず、無線インターネットの技術という分野は時代を先取りしすぎていました。帰国後、いくつかの理由でそのプロジェクトが凍結してしまいました。

 

「パソコンレンタル事業で独立」

松本:その後、どう起業に結びつきましたか?

目代:研究をしていた無線インターネットのプロジェクトは凍結しましたが、その会社より出資していただき、プロジェクトに参加した学生メンバーで起業することになりました。

 

そのころは、今では当たり前となっているインターネットの常時接続は夢のような話で、ようやくインターネットが定額で使用できる社員寮や学生寮が少しずつ出てきたのですが、パソコンも高額で簡単に手に入る時代ではありませんでしたので、中古のパソコンをきれいに整備して、それを新入社員や学生に月3,000円で貸し出す事業を行っていました。

その後、方向性の違いからメンバーが離脱していき私一人になってしまいましたが、今も一緒に経営している山下に連絡し、出資金を150万円ずつ出し合い、1999年にチェックフィールドを起業しました。

 

「お客様とのコミュニケーションから生まれた仕事」

松本:起業当初はどういう事業をしていましたか?

目代:当時はレンタルサーバーも非常に高価な時代だったので、中小企業向けのサーバーと回線をお客様の会社に入れて、ホームページ公開やメールが利用できるというものをパッケージにして販売していました。

その後、ホームページやデータベース作成等の依頼があり、保守業務も行うようになってきたところ、社内LANやネットワーク設計・構築のお仕事も増えました。当時から営業はほとんどしていませんでしたが、作業着を着て、自分たちで現場に出向いて作業をしていると、さまざまなITに関するご相談をいただき、お仕事が増えていったという流れです。

 

「お客様のオフィスを間借りしてスタート」

松本:20年やってきて苦労したことはありますか?

目代:ゼロから始めたのでお金もなく、最初の3年くらいは1食49円ほどの卵ラーメンを食べて生活していました。

大学生の時に起業したため、特に3年生のころは単位を取得するために授業に出席しなくてはならず、昼間は学校、夕方から仕事をして納品するなど学業との両立が大変でしたが、無事に卒論も提出できました。

また、起業したときはお客様のオフィスの一角を間借りして、その分の家賃を払って仕事をしていた時期もありましたが、「あいつ、会社作ったけど潰した」と言われないように意地で続けました。3年目ごろに少しずつ軌道に乗ってきて、自分たちのオフィスが借りられるようになりましたが、本当にいろいろな方の支援をいただいて、今があると思っています。

 

「ビジネスは何をやってもいい」

松本:起業したいけども、どういった分野に進もうか迷っている方へアドバイスをお願いします。

目代:基本的に自分が好きなことや得意なことでないと、長く続かないと思います。学生のうちに起業することと、就職してから起業することは、どちらが良い悪いという話ではありませんが、自分が得意な分野や好きなことで起業したとしても、会社はお金を稼がなければいけませんので、もちろん簡単なことではありません。

社会が混迷の時代で不安要素が多く、学生も保守的になる中で、公務員になることが一番というような風潮もありますが、法律に違反したり、社会的に悪いことでなければビジネスは何をしてもいいと思いますので、特に最初の3年は大変だと思いますが、チャレンジしてほしいと思います。

 

「ITもアウトソースする時代」

松本:今後の事業展開、仕事上の夢を教えてください。

目代:当社のメインビジネスとなる、ITの運用管理業務の需要を拡大していきたいなと思っています。当社は、この20年間で様々なお客様の本当に沢山の事例を扱い、問題を解決してきましたので、その経験をもとに多くの中小企業にIT管理の重要性をお伝えしていきたいです。2009年に「ITコンシェルジュ」という商標も登録しており、中小企業がIT管理をプロにアウトソースするという分野を確立させることが夢です。

 

「同業者のネットワークづくり」

松本:他にもやりたいことはありますか?

目代:農業という分野がお米づくりからリンゴづくりまであるように、ITという分野も、ネットワークの構築から、ソフトウェア、システム開発など、幅広くあります。私は、自社と同業であるITの運用管理分野を行っている企業をつないで、情報共有できるコンソーシアムを作りたいと考えています。

それによって、IT運用管理という需要が増えているなかで、弊社で受け切れないお客様を他社へ紹介するなど、お客様に合った企業を紹介し合うという好循環が生まれることに期待しています。

 

「お客様から信頼を得る仕事」

松本:最後に、これから起業する方へメッセージをお願いします。

目代:どちらかというと勢いで会社を作った私が偉そうなことは言えませんが、一般的に10年続く会社は約2割と言われていますので、やはり人脈を作って、収益の取れる仕事を計画することが大事だと思います。

 

私たちは、「ITという新しい道具を安心安全に使用していただく手助けを提供する。」ということを会社の理念にして成長してきました。起業したてのころは、会社の机の下に寝袋を敷いて寝るなど大変な時期もありましたが、好きなことを仕事にできているのは幸せなことです。

今は、昔に比べたらオフィスも簡単に借りることができ、銀行の融資も受けやすく、比較的簡単に起業できる時代になりましたが、「この分野では誰にも負けない!」という部分を磨かなければお客様から信頼を得ることは難しいと思います。仕事は楽しみながらも必死で頑張ることがとても重要です。

 

 

 

起業におすすめな本/社長の「1冊」

生きるヒント

これはいわゆる「人生論」ではありません。また、生きる「思想」というようなおおげさなものでもありません。タイトルどおり、生活していく上でのちょっとした「ヒント」です。

 

チェックフィールド株式会社 代表取締役 目代純平
東京都認定 eメディアリーダー  1976年10月28日生まれ。

東京都出身。商社勤務の父親の転勤に伴い台湾にて中学校3年間を過ごす。 帰国後国際基督教大学(ICU)高校を経て中央大学総合政策学部政策科学科にて環境経済学を専攻。

大学在学中に学生企業の立ち上げ、NTT社員対象講師などを経て、大手電機メーカーの学生インターンメンバーとして米国で次世代無線アクセスシステム(Wireless Local Loop)の研究開発に携わる。

帰国後、大学4年在学中の1999年7月有限会社チェックフィールドを設立。18年間で150社以上のWebシステム/デザイン設計ならびに社内IT環境設計・管理を経験し、企業におけるIT導入・運用管理の総合的なノウハウを身につける。

2006年株式会社に組織変更し、プライバシーマークを取得。現在では、中小・中堅規模法人向けのIT導入・運用コンサルティング、運用管理代行を中心に約80社のIT環境を総合管理する傍ら、業務で得た知識や事例をもとに、各地で主に小中学生や保護者、先生方に対して「安全なケータイ、スマホ・インターネットの使い方」をメインテーマに講演ならびにワークショップ活動を展開。

2010年10月、東京都よりeメディアリーダーの認定を受け、この8年間に各地で行った講演は180を超える。2014年フジテレビ「ホンマでっか!?TV」に「ネット問題評論家」として出演。

特技は英語、中国語。趣味は音楽(特にSmoothJazz、AORが好き)、写真、スノーボード、ワイン、街歩き。その他の著書に「1から出直すパソコンインストール(共著)(エーアイ出版;1998年)」がある。

「子どものための『ケータイ』ルールブック」
http://www.checkfield.co.jp/mokudai/

チェックフィールド株式会社
http://www.checkfield.co.jp/

 

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