第46回:坂本立志塾/志を持って社会をより良くする起業家・経営者を育成する

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本日のゲストは、坂本立志塾 代表 坂本憲彦さん。代表を務める坂本さんに、事業内容や起業に至るまでのストーリーを伺いました。

 

 

 

「本当にやりたいことを見つめなおすサポート」

松本:現在どのような事業をされているのか、自己紹介をお願いします。

坂本:10年ほど前から起業家支援のための坂本立志塾というビジネススクールを行っております。これまで、1万人以上の起業家や経営者の支援をしており、自分の本当にやりたいことを見つめなおして、事業を再構築し、よりよいものにしていこうと提案させていただいております。

マーケティングなどのノウハウを指導する起業家支援の会社はたくさんありますが、ノウハウだけでは成果は出にくいと考えており、弊社では、起業家自身のやりたいことを見つけるところからサポートし、人生レベルで何をやりたいかという志を見つけ、長く続けられる企業を目指してほしいという思いで事業をしています。

 

「事業のヒントは自分の過去にある」

松本:やりたいことを見つけるコツはありますか?

坂本:坂本立志塾の生徒さんにもよくいらっしゃるのですが、何を事業にするか迷ったときに、本屋やセミナーに行くなど、外にヒントを探しに行く方が多いです。しかし、本の著者やセミナーの講演者が言っていることに感銘を受け、同じことを実行しようとしても、その方と自分自身は性格も育った環境も違いますから、必ずしも成功するとは限りません。ですので、外にヒントを求めるのではなく、自分自身が興味のあることや好きなことはなんだったかと、過去を見つめなおすことが事業のヒントを見つけやすい方法だと思います。

 

「子供のころの経験を振り返る」

松本:事業を成功させるためには、人生を振り返るということですか?

坂本:人生を棚卸するようなイメージですね。例えば、起業の理由として、ブラック企業で働いていたから、労務改善のコンサルタントをしたいという方がいらっしゃいますが、社会人になってから経験したことを起業の理由にするのではなく、幼少期まで振り返り、子供のころに感じたことを事業とするほうが成功すると思います。人間というのは、体は変わっても、心までは変わらず、幼少期の経験が積み重なって、今があります。事業を成功させる秘訣は、子供のころの経験まで振り返るということがポイントです。

 

「事業の中心人物の熱量によって成功するか決まる」

松本:事業の成功の秘訣は他にもありますか?

坂本:なぜ、そのビジネスをやりたいのかという気持ちを明確に持っていないと続かないと思います。私はこれまで様々な事業を立ち上げてきましたが、儲かりそうと思って始めた事業で続いているものはあまりありません。

 

例えば、数年前に英語速読の事業を始めましたが、当時の時代から考えると、英会話ブームもあったため事業としては成功するはずだったのですが、そもそも私は英語が好きではありませんでした。成功するビジネスというのは常に良い方向に改善するということが重要ですが、事業のトップとなる人物の事業にかける熱量が少ないと改善しようという気持ちになれず、結局は長く続かないということになると思います。

ですので、お金が儲かるという理由で始めるのではなく、本当に心の底からやりたいことをビジネスにするほうが長く続き、成功に近づくと考えています。

 

「事業展開するときは軸を持つ」

松本:事業展開する際のポイントはありますか?

坂本:坂本立志塾では、人生の目的を見つけることを指導にしています。すべての人を「真」に導きたいと思っていて、その人が持っている才能を見つけて、その才能に合わせた事業を考えることを大事にしています。事業展開する際、軸が定まっておらず、いろいろなことに手を出してしまう経営者を見かけますが、これも続きにくいです。「真」、つまり、本当にやりたいことを軸として事業展開することは、その人の持っている志がしっかりとベースにあるため、苦労も乗り越えられ、事業も長続きすると思います。

 

「自分のやりたいことに覚悟を持つ」

松本:坂本立志塾では、どういうふうに志を意識づけていくのですか?

坂本:坂本立志塾は半年コースで定期的に開催しており、何がしたいのか定めたあとに、その志を人に伝えるということを大切にしています。自分のなかだけでアイデアを秘めていてもビジネスは広がらないので、プレゼンテーションを行い、共感や感動を共有するということも授業で行っています。人に志を伝え、人生これで生きていくと宣言することで、覚悟を持ち、そこができて初めて、具体的にどういう戦略で事業を進めていこうと考えていきます。

 

「将来は起業しようと思い、銀行に就職した」

松本:これまでに至ったストーリーを教えてください。

坂本:子供のころから起業したいという思いがありました。母親が重度のうつ病で38歳の若さで亡くなったときに、母親のようになっちゃいけない、自分は強くありたいと考えるようになり、そのためには、起業して成功するんだという思いが芽生えました。そのために、大学は経済学部に入り、お金や経営のことをより勉強しようと福岡の地方銀行に就職しました。銀行では融資や営業の勉強をさせていただき、30歳になったときに将来のことを考え、起業するならそろそろ行動を起こさなければと思い、上京しました。

 

「起業塾に通い不動産投資の教材を販売」

松本:東京に来て、どういうことをされましたか?

坂本:起業したいと思い、上京したにも関わらず、どうしたらいいか分からなかったので、まずは転職活動をしました。しかし、面接で馬鹿正直に「いずれは起業したいです」と答えてしまい、採用してもらえず、悩んでいたときに知り合いから起業塾のセミナーに誘われ、参加することになりました。そこで、ネット通販やウェブマーケティングを指導していただき、私が銀行員時代に不動産関係の仕事をしていたこともあり、不動産投資の教材を販売するまでに至り、5,000万円ほどの売上に繋がりました。

 

「仲間同士でビジネススクールの会社を設立」

松本:その後、独立したのですか?

坂本:起業塾のメンバーをはじめ、仲間数人で会社を創業しました。メインで行っていた事業はビジネススクールですが、それ以外にもコンサルティング事業や、集客支援、金の買い取り、メロンパン屋など、幅広く事業展開し、成功したものも失敗したものもありますが、売上もスタッフも増えていきました。しかし、人が増えてくると目が届かなくなり、マネジメントスキルが求められたり、事業規模が膨らむにつれて、お客様からのクレームも多くなり、その処理に追われたりなどの問題が発生しました。一番問題だったことは、待遇面や会社の方向性が分からないなどのスタッフからの不満でした。

 

「創業メンバー同士でも価値観の違いが出てきた」

松本:創業メンバー同士の関係はうまくいっていたのですか?

坂本:事業も膨らみ、長年やっていると、創業メンバー同士でも価値観が変わってきます。最初の数年は同じ志を持って事業に取り組んでいるのですが、会社の成長やステージが変わってくると、それぞれが目指したい方向が変わり、対立が生まれてきました。当時は社長という立場でしたが、私が何か行動すると誰かに批判されるという状況になってしまい、意思決定することが怖くなり、これ以上、社長を続けることが難しいなと感じ、メインでやっていた社長を降りて、自分自身に足りないところを勉強しなおそうと思い、松下幸之助経営塾に通うことにしました。

 

「経営者は何でもできるわけではない」

松本:松下幸之助経営塾ではどういうことを学んだのですか?

坂本:事業を作るのは明確な志、ビジョンを持つことだと学びました。例えば、経営会議で年商5億を目指そうと部下に提案しても、数字だけを言われても、部下は何のために5億を目指すのか分からず、仕事に対するモチベーションが上がらないと感じ、その後は社長として何か提案するときは、しっかりと志も明確にしようと思いました。

 

そして、社長としての意識が変わったきっかけがもう一つあって、母親がなぜ亡くなったのかを知ったことです。父親も3年前に他界したのですが、最後まで母親の亡くなった理由は聞けず、2年前に自殺だったということを姉に知らされました。事実を知ることで自分までおかしくなってしまうのではないかと恐怖心もありましたが、理由を聞いて泣いたあと、自分は壊れない、大丈夫だと思うことができ、その後は周りに対する感謝の気持ちが溢れだしてきました。

感謝というのは、私を産んでくれた母親だけでなく、自殺したという事実を33年間、私の耳に入ってこないようにしてくれた周りの方に対しても、ありがとうという気持ちが湧いてきました。すると、それまで、人は強くなければならないと突っ張ってきた感情が、人は弱くてもいいんだという感情に変わり、営業も企画も財務もパーフェクトにできる人が社長としてふさわしいと思っていたものが、全部できなくてもいいんだと思えるようになりました。

 

「弱いままで成功する」

松本:自分の弱点は伸ばさなくてもいいということですか?

坂本:人は弱くてもいいと思えるまでは、何でもできるスーパーマンになろうとしていました。部下やビジネススクールの生徒にも何でもできることが良いと指導してきましたが、それが不満となり、対立の原因となっていたと思います。

人は弱さと強さの両方を持っていて、もともとマイナスである弱いところを伸ばすということは、結局はプラスマイナスゼロにしかならないので、事業においても、何の価値も生まないと思います。そうではなくて、自分の強みをさらに伸ばすことで、もともと1や2ある価値を3や10に伸ばすことで世の中に貢献できる幅も広がるはずですので、私は坂本立志塾で「弱いまま成功する」というコンセプトで指導しています。

 

「自分の強みを活かしてビジネスモデルを作る」

松本:坂本立志塾を始めたきっかけはなんですか?

坂本:私はもともとやっていたビジネススクールでウェブマーケティングを教えていたのですが、成功できる人は3割ほどで、残りの7割は成果が出ないということが問題でした。私の希望としては全員成功してほしいと思っていて、そのためには経営のノウハウよりも、経営の根本となるビジネスモデルの構築をサポートし、その人が何を成し遂げたいかしっかり見つけてあげたいと思い、坂本立志塾をスタートしました。

起業したいと来られる方のなかで、パソコンが苦手なので、まずは、パソコンを教えてほしいと言われる方がいますが、弱い部分を鍛えるのではなく、その人の強みを見つけ、その人に合ったビジネスモデルを作っていくということを大事にしています。

 

「夢を潰す原因は過去にある」

松本:起業したいのですが、どの分野で起業したらいいか迷っている方へメッセージをお願いします。

坂本:目先でやりたいことではなく、何十年と長く続けられることをビジネスにすべきだと思います。ソフトバンクの孫正義さんは起業する際、50年やり続けられることをビジネスにしようということで会社を立ち上げたということですが、私もそれはすごく大事だと思っていて、長く続けると、それが独自性となり、強みになってくるので、自分が飽きずに取り組める分野を見つけてほしいです。

 

例えば、子供のころから、人を笑顔にすることが好きだという方は、人を笑顔にできる仕事はないか探すこともいいと思います。以前、私のところにどの分野で起業したいか悩んでいるということで相談に来られた方がいます。その方の好きなことを聞くと、365日外食でもいいくらい食べ歩きがが好きということだったので、料理の仕事がいいのではとアドバイスしました。

すると、料理はやりたくないということだったのですが、その理由は両親が料理屋を経営していて、苦労しているところを幼少期から見てきたからというものでした。そのときに私が感じたのは、せっかく心の底から好きなことがあるのに、過去の自分の思いによって、夢を潰してしまっているということです。両親との関係を見直し、過去に感じた自分の思いを変えることで、夢は広がると思っています。

 

「潜在的な意識がビジネスモデルにブレーキかけている」

松本:他にも起業の相談に来られた方で印象的な事例はありますか?

坂本:美容やコスメのブログを開設し、アフリエイトで稼いでいる方が相談に来られました。その方は1日15時間かけてブログを管理し、月収10万円にしかならず、さすがに厳しいということで、他に事業はできないだろうかという相談で、好きなことを聞いたところ、占いが好きだということが分かりました。

 

占いは自分が受けることも好きで、友人の運勢を見てあげることも好きということだったので、占いに関するビジネスを勧めたのですが、占いは儲からないということと、占いをやって、重たい悩みを聞いていると自分自身のメンタルまで壊れてしまうのではないかという恐怖心があり、占いはビジネスにしたくないと言われました。

決して占いが儲からないというわけでもなく、感情的に落ち込まないようにする方法はいくらでもあると思いますが、その人の潜在的な意識によって、せっかく夢中になれることでのビジネスモデルにブレーキをかけてしまうということはもったいないと思います。

 

「無意識のうちに好きなことはやってはいけないと思っている」

松本:なぜ人は好きなことを仕事にできないのでしょうか?

坂本:それは全部その人の過去が原因だと思います。例えば、ビジネスモデルを作っていて、自分の好きなことであるA案、ただ単にお金が稼げそうなB案があったとします。すると、多くの人は、お金を稼げるほうのB案を選びます。

子供のころに親から注意されるとき、「好きなことばかりやっちゃ駄目」と叱られることにあり、その言葉が大人になってからも無意識のうちに残っていて、好きなことを仕事として選べないということが原因だと考えています。「30歳になったら、好きなことをしていいよ」と言われれば、大人になったときに好きなことを選べると思うのですが、言われないまま育つので、何を仕事にしてもいいはずなのに、無意識に好きなことはやってはいけないと思いこんでいる方が多いです。

 

「自分も周りもワクワクするようなもので起業する」

松本:好きなことをやってはいけないという潜在的な意識をなくすことが大切ということですか?

坂本:潜在的な意識により、好きなことは選べず、さらに、ビジネスとは苦しく嫌な思いをするものだということを考えている人が多いです。起業する分野を決めるときは、どれくらいの収入が欲しいかということも大事ですが、儲かるかどうかよりも、自分がどれだけ時間を割いても楽しいと思えることを見つけるかが重要だと思います。

好きなこと以外で起業をするとなった場合、例えば、スタートアップのときは本業の傍らで起業準備をする人も多いと思いますが、本業が終わったあと、家に帰ってから、嫌いなことをする気持ちになれないはずです。短い期間であれば耐えられると思いますが、何年もとなると飽きてしまいます。なので、起業するには、自分も周りの気持ちも動かすようなワクワク感が大切だと感じます。

 

「志から事業を作るという坂本立志塾を広めていきたい」

松本:今後の事業展開、仕事上での夢を教えてください。

坂本:今は、起業したいとなったとき、ノウハウなどはネットや本屋で情報を入手することが可能です。大事なのは自分が何を成したいかということで、これを明確にしてあげることが私たちの使命だと思っています。坂本立志塾は1期を2年前にスタートしたのですが、そのとき、三重からバスで通ってくれた高校生がいました。

その子は起業したいと思っており、そのために大学に進むべきか悩んでおり、人生の目的を一緒に考えていき、人を笑顔にしたいということがすべての行動の源にあると分かりました。まだ若いということもあり、牛タンが好きなので牛タン屋、音楽が好きなので音楽イベント、ゲームが好きなのでゲームイベントなど、やりたいことがたくさんあり、まだ事業を決めるということには至りませんでしたが、将来どんな事業をするにしても、人を笑顔にするということを軸にして事業展開するように指導させていただきました。

 

その後は大学進学する意味も見つけ、今は大学に通い、大学在籍中での起業に向けて頑張っています。この高校生のように、小さいころから人生の目的を決めることで、大学進学などの進路自体も変わってきます。志から事業を作る坂本立志塾を広めていき、自分の価値観を早くから知り、本当にやりたいことに目覚めた人が増えていくことで、社会も活性化し、日本も元気になり、世界も変わっていくことが夢です。

 

「起業のあり方を指導できる教育機関」

松本:他に夢はありますか?

坂本:起業家支援のコミュニティが少ないと感じ、立志財団というものを作ろうと準備をしています。経営のノウハウを指導する教育機関はあるのですが、事業の目的である志など、心の部分を指導する機関はないので、それをちゃんと教えられるように教育者の育成をし、指導していく教育機関の設立に向けて動いています。

 

「自分にとっては簡単だけど、人に喜ばれること」

松本:最後に起業を考えている方へメッセージをお願いします。

坂本:起業はみなさんできると思います。私も悩み、苦しんで、今に至るまで寄り道もしてきましたが、一番大事なのは自分の強みを伸ばしてほしいということです。

 

ある起業家に「自分の強みを伸ばすのは社会貢献になり、弱みを克服するのは単なる自己満足だ」と言われました。弱みを伸ばしてもゼロになるだけなので、もともと持っている強みを活かせば、より社会に価値提供できると考えています。強みを見つけるポイントとしては、簡単にできることなのに、人から喜ばれることを見つけることです。

強みは長く苦労してきたことと思いがちですが、何の努力もしていないけど人よりも優れており、感謝されることだと思います。最初からできるということは才能が眠っているということなので、ぜひそこを探してみてほしいと思います。

 

 

 

起業におすすめな本/社長の「1冊」

ビジョナリー・カンパニー 2 – 飛躍の法則

ベストセラー『ビジョナリーカンパニー』の著者が7年ぶりに書き下ろす 飛躍企業11社の秘密!!

ごく普通の会社が、世界有数の経営者に率いられた超一流企業に勝るめざましい業績をあげるまでに変身した。全米1435社の中から選ばれた傑出した業績を長期間持続させることに成功したジレット、フィリップ・モリス、キンバリー・クラーク、ウェルズ・ファーゴ等の飛躍を遂げた企業11社をそれぞれの業種で競合関係にある企業と詳細に比較・分析した結果、飛躍したこれらの企業には共通した特徴があった。
 

 

坂本立志塾 代表 坂本憲彦
株式会社ナレッジアクション 代表取締役

下関市立大学を卒業後、西日本シティ銀行に勤務。6年間、法人・個人向けの融資・営業業務に携わる。 30歳のときに、子供の頃の夢だった起業をするために、 一念発起して東京に上京。 まったくのゼロの状態から、不動産教育事業、ビジネススクール事業、 能力開発講座、飲食業など複数の事業を立ち上げ、 グループ会社を含め最大年商5億円、スタッフ30名(外部委託を含む)を達成する。

また、スピーカーとして、起業家・経営者向けのセミナー・講演を300回以上行う。 77業種、2000名以上の起業家・経営者にコンサルティングを行い、成功に導いている。2013年よりフジサンケイビジネスアイ (日本工業新聞社)が主催する 中小企業支援団体のイノベーションズアイで支援機関として活動する。

坂本立志塾
http://sakamotonorihiko.com/

立志財団
http://risshi-entre.org
 

 

 

 

 

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